濱農浪漫

このコーナーでは、横浜で頑張っている農家さんを紹介していきます。

中丸洋平さん 港北区新羽町

中丸洋平さん 港北区新羽町

港北区と都筑区にまたがる新羽大熊農業専用地区。その一角にあるハウスで中丸さんは水耕トマトを主力に、今年から他の農産物にも挑戦しています。父が亡くなるまで農業とは無縁でしたが、地元野菜部の仲間に助けられて今があります。日ごろから情報交換を欠かさず、農作物の品質向上に余念がありません。1人での作業にも限界があると考え「スマート化」をテーマに農業に取り組んでいます。

現在、中丸さんはトマトのハウス2棟7㌃を1人で管理。生育の良い冷蔵苗で、品種は大玉「桃太郎ファイト」2000株、中玉「フルティカ」200株、ミニトマト「千果」200株などを手掛けています。もう1棟では、今年からズッキーニやエダマメ、葉物野菜も作り始めました。主力のトマトは夏・冬の年2回転。産地入りのオリジナル袋に詰めて年間約12㌧をスーパーと市場などへ出荷しています。

中丸洋平さん 港北区新羽町

トマトは8月上旬に定植。肥料は父と同じように使っていましたが、経験を重ね独自の配分を生み出し、粉状の肥料を10㌧のタンクに入った水7㌧に溶かして栽培ベッドに送っています。溶液は、およそ1週間に1回のペースで5㌧を足しています。「根がダイレクトに栄養を吸収してくれるから、良いものが出来る」と水耕栽培のメリットを話します。収穫は11月上旬から始まり、12月に最盛期を迎えます。

中丸洋平さん 港北区新羽町

順調な一方でトマトの形が悪かったり、割れてしまったりと、B品が多く出来ることが悩み。解決されれば収益向上も見込めると、今年取り入れたのが、光合成を助けるCO2発生機。生育環境から改善することにしました。この機械では、スマートフォンなどで室内の状況をいつでも確認でき、集めたデータを翌年へと生かしていきます。〝品質向上はもちろんだが、ロスを無くす〟これが中丸さんの今の目標です。

相原重幸さん 泉区新橋町

相原重幸さん 泉区新橋町

泉区新橋町は谷戸のような地形で、強風の心配も少ない。もともと田んぼだった畑には水分が十分にあり、ナス栽培に適した土地だそうです。この地で相原さんはナスを主力に、ダイコンや長ネギなどを栽培しています。地元農家の結束は固く、かつて出荷先を失ったときは、力を合わせて共同販売を始めたこともあります。協力して作った資材は、今や欠かせないものに。

相原重幸さん 泉区新橋町

今年は「千両2号」の苗600本を注文し、4月中旬に定植。5月の連休明けに、鉄パイプを設置しました。株の6段目まではテープで固定し、風で実にすり傷ができないようにしています。株は「四本仕立て」で、株間を昨年より10センチ広げ、70センチにすることで病気の対策をしました。ダニやアザミウマなどの害虫発生にも毎日、細心の注意を払っています。夏場に大きく枝を切り詰める更新剪定はせず、追肥も2回で、霜が降りる11月まで収穫を続けます。

ナスは朝4時半ごろから、7時前までに収穫。台車に籠を前後2列に置き、手元にナス、前方は、切り戻した枝葉入れます。同時に行うことで、普段の作業を軽減します。ナスは収穫後、鮮度保持のため、すぐに袋詰めまで行います。形の同じ5本を選別し、見栄えも意識。滑りを良くするため、薄手の手袋で作業し、あっという間に終わらせます。

相原重幸さん 泉区新橋町

畑にいると近隣住民によく声をかけられるそうです。2㍍まで伸びる株を見て「普通のナスですか」と驚かれています。家庭菜園ブームもあり、栽培法も聞かれ、教えているそうです。相原さんは今の生育環境に満足せずに「品質にもこだわり、これからも、良いと思ったことは迷わず取り入れ、今年以上に、おいしいナスを作っていく」と力強く話した。この熱い気持ちと向上心が、明日へのやる気につながっています。

長谷川昌章さん、弘和さん 泉区中田北

長谷川昌章さん、弘和さん 泉区中田北

泉区は市内でも農地面積が最も多く、農業が盛んな地域。区の中央に位置する中田農業専用地区で、果樹園「誠長園」を営む長谷川昌章さん・弘和さん親子は、かながわブランドの「浜なし」の他、ブドウやカキ、イチジクを栽培しています。畑前の直売所で、8月から10月にかけて旬の果実を販売。連日、「誠長園」の味を求めて客でにぎわいます。

10年ほど前に植木生産業から移行して始めた果樹栽培。植木から果樹への転向は難しいといわれていますが、「木を育てる点では同じ」と、臆することなくチャレンジし、大きな病害にも遭わずにここまで来ました。

長谷川昌章さん、弘和さん 泉区中田北

同園では、ナシの栽培に神奈川県が特許技術を取得した「ジョイント仕立て法」を取り入れています。一本一本の樹を隣の樹に接ぎ木で連結させる方法で、市内でも取り入れている農家は数戸しかありません。苗づくりは大変ですが、樹が生長すれば、剪定作業など毎年の作業は格段に省力化されるといいます。

長谷川昌章さん、弘和さん 泉区中田北

ブドウ栽培でも、作業が省力化され作業効率の良い技術を取り入れています。人気の「シャインマスカット」や「藤稔」、「安芸クイーン」を育てています。
ここ数年は、昌章さんがブドウ、弘和さんがナシと、分業するように。互いの好みに合っていて、「自分のイメージした通りに房を作っていくのが楽しい」と昌章さん。弘和さんは「その年によって実の成り方が違って奥深い」と、それぞれの魅力を話します。

直売所では、家族総出で対応します。「誠長園」のフェイスブックやツイッターでも直売状況を発信しています。失敗して思うように収穫できなかった年の翌年に「やっと食べられる」と買いに来てくれたお客さんの笑顔に励まされたことも。毎年楽しみにしてくれるお客さんに喜ばれるよう、日々、果樹と向き合っています。

加藤克己さん 緑区新治町

加藤克己さん 緑区新治町

JR横浜線「中山駅」にほど近い緑区新治町は、里山風景が残る地域。この地で年間15品目の野菜を生産する加藤克己さんは、「自分の食べたい野菜」「間違いなく売れる野菜」を選び、13店舗あるJAの「ハマッ子」直売所のうち、中里店と四季菜館へ出荷。生産者数の少ない野菜を見極めています。

加藤克己さん 緑区新治町

夏の売れ筋はトウモロコシ。他の野菜より栽培面積を広く取り、6月中旬から8月中旬まで出荷しています。品種は「ゴールドラッシュ」で、毎朝5時に畑へ向かい、一度に約200本を収穫。出荷準備をし、9時頃には直売所に並べます。

「消費者の好みは、収穫したままの姿が良いという人と、自宅で処理しやすい方が良いという人に分かれます」。トウモロコシは皮つきと、一部の皮を取り除いて実が見える状態で袋詰めしたものの2種類を用意。陳列時は、人目に付きやすい位置に袋入りのものを並べています。

加藤克己さん 緑区新治町

「直売所に並ぶ荷を見ると、どれもきれい。自分も、それに近付けるようにしています」と加藤さん。どんなに味の良い野菜でも、荷姿が悪ければ、売れ行きは落ちてしまうといいます。「全ての品を完璧な荷姿にするのは難しいけど、自分の品を手に取ってもらうチャンスを広げていきます」。

毎週日曜日には、JAの新治支店で開かれる朝市にも参加し、地域の農業・農産物をPRしています。