濱農浪漫

このコーナーでは、横浜で頑張っている農家さんを紹介していきます。

山本忠夫さん 港北区新吉田町

山本忠夫さん 港北区新吉田町

港北区新吉田町は梨の産地として古い歴史を持つ地域。山本果樹園は、第3京浜道路都筑インターチェンジから車で約2分の立地で、夏はナシとブドウ、冬はキウイフルーツを生産・直売します。園主の山本忠夫さんは、市内でのキウイ栽培の先駆者的存在。独自に剪定技術を考案し、大玉のキウイづくりを目指して日々向上心を燃やしています。

山本忠夫さん 港北区新吉田町

キウイフルーツの木は25本で、主力の「ヘイワード」の他、果肉が黄色の「紅妃」など4品種を栽培。収穫は10月下旬から11月中旬まで、品種をリレーします。糖度が6度を超えると収穫適期で、サイズごとに冷蔵庫で保管します。販売は直売と宅配のみ。直売日から逆算して追熟させ、14度まで糖度を高めます。

山本忠夫さん 港北区新吉田町

山本果樹園としてホームページを開設し、日々の農作業を日記形式でアップ。忠夫さん自身が文章を書き、写真も撮ります。今年は巣ごもり需要も追い風となって、梨の販売時期には1日のアクセス数が400を超える日もあったといいます。
また、JAの果樹部副部長を務め、同部新田支部長とキウイフルーツ班班長を兼務する多忙な日々。横浜産キウイフルーツの知名度向上に尽力します。

小川喜良さん 神奈川区菅田町

小川喜良さん 神奈川区菅田町

神奈川区菅田町にある(有)古屋植木は、建築士やデザイナーなど流行をつくり上げる顧客の需要に応え、個人輸入により日本では珍しい樹種を取り扱っています。4ヘクタールの圃場(ほじょう)で、これまで低木植物や多肉植物、大木など約3,000種類を扱ってきました。時代の流れとともに移りゆくニーズに応え続けています。

小川喜良さん 神奈川区菅田町

個人輸入を始めたのは30年ほど前。以降、仕入れ時は仲介業者を入れずに現地へ渡航します。山に入り生育状態を確かめるのが、経営者の小川喜良さん流です。仕入れる国は、オーストラリアやスペイン、イタリア、モロッコなど。今では小川さんや長男と共に、従業員も交代で同行します。こうした積み重ねで、顧客との信頼を築いてきました。

小川喜良さん 神奈川区菅田町

輸入の第一条件は、日本の露地で育つもの。「たとえ顧客のニーズに合っていても、日本の環境に合わなくては意味がない」と、自身の経験や各国の植木職人とも頻繁に情報交換し、選び出します。人とは違うものを求める傾向にある現代だからこそ、アンテナを高く張り、多様なニーズに応えています。「求められる植木はさまざま。その植物がどこにあろうとも、求め続けていく」と、今後は南アフリカにも目を向けます。

川戸直樹さん 戸塚区東俣野町

川戸直樹さん 戸塚区東俣野町

就農2年目の川戸さんは、妻の佳菜子さんと共に将来の営農について考え、就農初年度から販路や栽培品目の見直し、観光農園化などに取り組んでいます。父の代では、ホウレンソウと小松菜が主力で、販路は市場だけでしたが、農業収入の増加を目指し、JA横浜「ハマッ子」直売所や地元スーパーへの出荷も始めました。現在は、年間18品目の野菜と果実を生産しています。

川戸直樹さん 戸塚区東俣野町

栽培品目を決める際に重視するのは、「よく売れる品」であること。出荷先の担当者から、購入客の動向や店側の要望を聞き取り、参考にしています。近年では、イタリア野菜など珍しい野菜も注目されていますが、流行に左右されない「定番野菜」を基本に、安定的な出荷を目指します。中でも、キュウリは売れ行きが良いため、ハウスを活用して初夏から秋ごろにかけて段階的に栽培しているといいます。さらに今年は、秋どりのトウモロコシの栽培にも挑戦しました。

川戸直樹さん 戸塚区東俣野町

野菜栽培の傍ら、ブルーベリーの養液栽培にも励んでいます。「生産現場に足を運んでもらい、自分たちの作物のファンを作りたい」と、今年6月に観光農園をオープンさせました。柔軟な発想で、さまざまな挑戦を続ける川戸さん。最近では、新型コロナウイルスの影響で市場の状況が目まぐるしく変化していることを受け、販路の選択肢を増やそうと、農産物のインターネット販売もスタートさせました。「5年先、10年先に何が起こるか分からない。将来を予想しながら、今できることをやっておきたい」と話します。

荏原庸二さん 港北区高田町

荏原庸二さん 港北区高田町

港北区高田町の農業振興地域は、みなとみらいや川崎市内のビル群を見渡せるほどの高台にあります。風を受けやすくナスの栽培には不向きな立地ですが、その一角で荏原さんはナス作りに挑んでいます。定年後に就農し今年で10年目。1年ごとの栽培記録を保存管理しているので、これまでの経験を翌年に生かし、栽培管理や防風対策を徹底。荏原さんの畑は長年の改善の跡が見えます。

荏原庸二さん 港北区高田町

現在、7アールで「千両2号」を栽培。4月中旬に接ぎ木苗400本を定植し、3本仕立てを採用。支柱のV字角を約50度にすることで太陽光が入りやすくし、ナス紺色が綺麗に出るようにしています。大敵である風の対策を厳重にするために周囲を樹木で囲い、内側にソルゴー、防風ネットと三重にします。棚にキュウリネットを張り、枝に加え、へたまで光分解テープで固定することで葉との擦り傷を徹底的に抑えています。

荏原庸二さん 港北区高田町

取材した7月下旬はナスの収穫が最盛期を迎え、早朝から収穫作業に追われていました。夏場に枝を大きく切り戻す更新剪定をせずに収穫は11月まで続けます。出荷は専らJAの一括販売で、不定期で「ハマッ子」直売所メルカートきた店にも出しています。荏原さんは「まだキャリアは浅い。今後の改善点は病害虫の防除がどうしても後追いになってしまうので、予防を徹底したい」と、これからもナスと向き合い続けます。

新川一郎さん 旭区今宿南町

新川一郎さん 旭区今宿南町

旭区を東西に走る八王子街道から奥に入った今宿南町には、宅地化の波が及ばない昔ながらの農景観が今も残ります。この地で農業を営む新川一郎さんは、会社経営を辞めてUターン就農し、わずか3年で耕作面積を3haまで拡大しました。品目をキャベツ・ブロッコリー・長ネギの3つに絞り、農作業の機械化を進めながら、長男・次男とともに精力的な生産に取り組んでいます。

新川一郎さん 旭区今宿南町

長ネギの出荷調整作業は機械を使い、根葉切り・皮むき・結束までを流れ作業で行います。将来を見据えて積極的に設備投資をしているところで、長ネギ専用で播種機1台、土寄せ機2台、根葉切り皮むき機(写真)1台を所有。収穫は手作業ですが、乗用式のネギ掘り機を発注中で、作業の機械化を一層進める計画です。JAの一括販売と、「ハマッ子直売所」メルカートつおか店にほぼ全量出荷しています。

新川一郎さん 旭区今宿南町

新川さんは元々、石英ガラスを加工する会社を経営していましたが、父親の高齢化や、貸していた農地にゴミを入れられたことなどが契機となって就農を決意。会社を売却し、農業の道へ足を踏み入れました。当初の労働力は自身だけでしたが、その後、長男が農業を志したことで、本腰を入れて農業経営に取り組み、規模拡大を図ってきました。さらに、自身と長男は露地に専念し、今年から農作業を手伝うようになった次男にイチゴの施設栽培をさせるため、育苗用と栽培用のハウスを新設。新川家の新たな挑戦が始まっています。

田丸哲夫さん 都筑区池辺町

田丸哲夫さん 都筑区池辺町

市内でも農家が多く、農業が盛んな都筑区。池辺と東方、二つの農業専用地区に挟まれた池辺町北部で「たまる花園」を営む田丸哲夫さんは、地域を彩る花苗を生産しています。同区をはじめ、隣接する緑区と港北区の街路や公園の花壇苗を提供し、住民の生活に潤いを与えています。6棟のハウス6アールと露地10アールで、花苗と野菜苗をそれぞれ20品種ほど生産。年間約10万ポットを栽培し、4割を地域の花壇に、3割を近くのJA「ハマッ子」直売所メルカートきた店、3割を市場に出荷しています。

田丸哲夫さん 都筑区池辺町

パンジーやマリーゴールド、ペチュニア――。3区に提供する花壇苗は、ほとんどが田丸さんの自宅から10キロ圏内で、見て回れる距離に咲いています。心掛けているのは、花を目にした人の心が華やぐような色と、長く咲き続ける丈夫さ。「花の魅力をたくさんの人に知ってもらいたい」と、花を愛でる町づくりに力を注ぎます。植物を育てる子どもの心を大事にしたいと、近隣の小学校に野菜苗を提供し、育て方を教えに行くことも。「子どもたちが期待を胸に苗を買いに来てくれる。うまく育つよう、丈夫な苗を渡してあげたい」と、未来を担う子どもの成長を見守ります。

田丸哲夫さん 都筑区池辺町

小学生の頃から父の野菜栽培を手伝い、「将来は農家を継ごう」と思いながらも、自分の道を開きたいと、花卉の道に。坪単価の高いパンジーを主力に始め、家庭菜園の需要を受けて野菜苗にも広げていきました。現在、作業は妻の真依子さんと二人で力を合わせています。花の見栄えやお客さんの反応など、妻からのアドバイスは、栽培に欠かせません。「一人より二人」と、息を合わせて取り組む夫婦の温もりが、苗にも伝わっているようでした。

吉原翔太さん 戸塚区東俣野町

吉原翔太さん 戸塚区東俣野町

藤沢市との市境に位置する戸塚区東俣野町。国道1号線から境川に向かった先には広大な農地があり、農業が盛んに営まれています。ここでイチゴ栽培を手掛ける吉原さんは、自身が経営する観光農園「吉原いちご園」を盛り上げようと、妻の信枝さんと共にさまざまな挑戦を続けています。

吉原翔太さん 戸塚区東俣野町

同園は、例年1~5月にイチゴ狩りを受け入れ、1シーズンで約1万3000人が訪れるほどの人気を集めています。しかし、「イチゴ栽培は、この時期以外の収入がゼロ。夏場の育苗期間中は経費がかかる一方で、何か収入につながるものがないか考えていた」と吉原さん。そこで、自分たちのイチゴを使ったメニューを提供するキッチンカーに目を付け、今年から営業をスタートしました。
看板商品は、冷凍保存したイチゴを、牛乳や練乳と合わせたドリンク「ストロベリーミルク」。レシピは、“イチゴ農家のまかないスイーツ”をテーマに、信枝さんが考案しました。この他に、ピンクと緑の2色でイチゴを表現した綿あめや、イチゴ狩りをしながら楽しめるクレープも販売しています。

吉原翔太さん 戸塚区東俣野町

キッチンカーは、車もメニューも「インスタ映え」を意識。真っ赤な車体とイチゴを模したサイドミラーが人目を引き、記念写真スポットとしても人気を集めています。

「自分は栽培のプロを目指し、妻には農園の雰囲気づくりを任せている」と吉原さん。皆が笑顔になれる農園にするため、若手農家ならではの柔軟な発想を生かし、改善を重ねています。来園客の喜ぶ顔や、「おいしい」という言葉を糧に、吉原さん夫妻はイチゴ栽培に力を注いでいます。

野﨑茂二さん 泉区下飯田町

野﨑茂二さん 泉区下飯田町

野﨑さんは栄区の農家の次男に生まれ、「農家に生まれたのなら働かざる者食うべからず」という父の教えから、幼少期は手伝いの毎日でした。結婚を機に妻が住む泉区へ。一度就職をして農業の道から離れましたが、現在は住宅地に囲まれた畑3カ所で、野菜の少量多品目栽培をしています。アルバイトで造園をしていた経験を生かし、傾斜地をブルドーザーで平地にするなど、働きやすい環境を自分で整備。「続けられているのは、環境の変化や仲間の存在があったから」と、父の教えや幼少期の経験を生かし、収益を向上させるために突き進んでいます。

野﨑茂二さん 泉区下飯田町

現在、小松菜やホウレンソウ、サトイモを主力に、年間20品目以上の野菜を1人で手掛けています。栽培ではたい肥にこだわり、妻の祖父の作り方を継承。わらやもみ殻は仲間に分けてもらい、米ぬかや裏山の落ち葉などを配合し、自宅敷地内に建てた、たい肥小屋に置いています。「市販のものを使ったこともあるけど、うちの畑にはこれが一番良い」と、笑顔を見せます。販売は10年前に、自ら販路を開拓したスーパーへの出荷と、自宅の無人直売のみにしました。1人での作業には限界があり、効率的にし、周年出荷し続けられるように心掛けています。

野﨑茂二さん 泉区下飯田町

JAの飯田支店元木支部には同世代のUターン就農した農家が多く、同じ境遇の仲間が。それが心の支えにもなり、畑で会えば情報交換をして技術を高め合うなど、結束を深めています。その中でも、同時期に就農した仲間が、きれいな野菜を作っているのを見ると、対抗心が沸くそう。JAの品評会が1年の評価基準。受賞経験はあるものの「仲間が受賞していると、来年こそはと思う。賞を取り続けられるようにしたい」と、挑戦を続けています。

田中稔成さん 戸塚区舞岡町

田中稔成さん 戸塚区舞岡町

戸塚区の舞岡農業専用地区は、横浜市営地下鉄「舞岡駅」の周辺に広がります。平成2年には同地区など102.6ヘクタールが舞岡ふるさと村に指定されました。水田が広がる谷戸、畑や樹林からなる原といった里山が残っています。土質は水はけのよい火山灰質で、トマト、サツマイモなどの栽培が盛んです。田中さんのハウスもこの一角にあり、自然豊かな環境で農作物を育てています。

田中稔成さん 戸塚区舞岡町

田中さんは、2棟1220平方メートルほどのハウスで、トマトを2200株ほど育てています。今までは2棟とも12月に定植を行い、3月から7月に収穫していましたが、今期は360平方メートルの小さい方のハウスでは、収穫期を真逆の11月中旬から4月にしようと、9月に650株を定植しました。このきっかけは、就農以来、一緒に農作業をしてきた父・康夫さんの高齢化。一人で農作業をすることとなり、体力的な負担を軽減するため、トマトの出荷時期を分散させました。

田中稔成さん 戸塚区舞岡町

栽培方法は土耕で、舞岡の火山灰質を利用しています。「水はけが良く、トマトの栽培に適している」と田中さん。摘果は実が大きくなるように1段あたり4個に絞ります。今期は13段まで収穫する予定。主な出荷先は「ハマッ子」直売所舞岡やと自宅の直売所です。田中さんのトマトの購入者はリピーターが多くいます。「自ら食べた食感では、甘みと酸味のコクのバランスが良い。これがお客さんの好みに合うのだと思う。トマトはコクを出すため、与える水の量を絞る。その一方で、実が小さくなるため、おいしく大きくなるよう、今後も工夫を重ねたい」と意欲を見せました。

餅田伸行さん 神奈川区羽沢町

餅田伸行さん 神奈川区羽沢町

市内有数のキャベツ産地で、広大な畑越しに横浜のみなとみらい地区を望める神奈川区羽沢町。菅田羽沢農業専用地区の一角で花苗を栽培する餅田伸行さんは、高いプロ意識を持ち、多くの園芸愛好家を魅了しています。パンジー、ビオラをはじめ、ペチュニア、ニチニチソウなど、年間通して30種類ほどの花苗を7棟のハウスで栽培。ガーデンブームの昨今は、最もボピュラーなパンジーやビオラも、低価格帯から高価格帯まで多種多様にそろいます。そんな中、餅田さんが生産する高価格帯の花苗は、引きも切らず注文が入ります。

餅田伸行さん 神奈川区羽沢町

餅田さんの手掛けるパンジーは、街路や花壇などで見かけるオーソドックスな品種とは一味違った姿です。紫やピンク色に少し橙色掛かった絶妙な配色や、フリルがついた花弁の花姿は、思わず見とれてしまう美しさ。全国でも数戸しか生産していない「ミュシャ」など希少な品種の他、プライベートブランドにも力を入れています。「ポンゼヴェールCoCo」(ビオラ)や「プリセ・シフォンCoCo」(ペチュニア)には、娘の名前を付けてモチベーションを上げていると笑います。

餅田伸行さん 神奈川区羽沢町

現在は生産した8割を、園芸に精通した客が通うプロフェッショナル園芸店に出荷。餅田花園の花苗を求めて来てくれるファンもいて、客の反応には遂次アンテナを張っています。重くなり過ぎないよう、持ち運ぶ客の負担まで配慮して土を配合したり、10月から2月頃まで出荷が続くパンジーを飽きずに手に取ってもらえるよう、出荷順を決めたり工夫を惜しみません。「産地と消費地を併せ持つ土地の利を最大限活用して、お客さんに求められる花を作っていきたい」と、多くの人を喜ばせるため腕を磨いていきます。

矢澤秀之さん 泉区和泉町

矢澤秀之さん 泉区和泉町

泉区は、横浜市内最大の農地面積面積を誇り、農業の盛んな地域です。ここで果樹園を営む矢澤さんは、柿やリンゴ、梅などを栽培しています。「地元の人たちに、おいしい果物を食べてもらいたい」と、JA果樹部員の仲間と共に、横浜産果樹の知名度や品質の向上に尽力しています。

矢澤秀之さん 泉区和泉町

主力の品目は柿。60アールの畑で、6品種を栽培しています。特に、大玉品種の「太秋(たいしゅう)」の生産に力を入れています。「太秋は、柿の中でも最も手のかかり、プロとしての力量が問われますが、その分、やりがいがあります」と矢澤さん。実が大きく重いため、風の影響で落果しやすいといいます。これを防ぐために、枝を横に倒しながら樹高を低く保ちます。

手を掛けて育てた太秋。まだ一般に知られていない頃は、自宅直売所の利用者に「食べてみて」と配っていました。このおいしさは、口コミで広がり、収穫が近くとなると予約が続々と入るほど人気を集めています。

矢澤秀之さん 泉区和泉町

柿の他に、注目を浴びることが多いのがリンゴです。市内でリンゴの生産から販売までを行う農家は、矢澤さんを含む2戸だけ。横浜は、主要産地の東北地方に比べ、春の気温が高くリンゴの花が早く咲くため、8月のお盆過ぎ頃から出荷が始まります。「販売は全てJAの直売所。地元の消費者に、とれたてのものを届けたい」と、地産地消にこだわります。
今年は、大型台風の影響で収穫期間が短くなってしまいましたが、来シーズンに向け、剪定(せんてい)作業などの栽培管理に励んでいます。

中丸洋平さん 港北区新羽町

中丸洋平さん 港北区新羽町

港北区と都筑区にまたがる新羽大熊農業専用地区。その一角にあるハウスで中丸さんは水耕トマトを主力に、今年から他の農産物にも挑戦しています。父が亡くなるまで農業とは無縁でしたが、地元野菜部の仲間に助けられて今があります。日ごろから情報交換を欠かさず、農作物の品質向上に余念がありません。1人での作業にも限界があると考え「スマート化」をテーマに農業に取り組んでいます。

現在、中丸さんはトマトのハウス2棟7㌃を1人で管理。生育の良い冷蔵苗で、品種は大玉「桃太郎ファイト」2000株、中玉「フルティカ」200株、ミニトマト「千果」200株などを手掛けています。もう1棟では、今年からズッキーニやエダマメ、葉物野菜も作り始めました。主力のトマトは夏・冬の年2回転。産地入りのオリジナル袋に詰めて年間約12㌧をスーパーと市場などへ出荷しています。

中丸洋平さん 港北区新羽町

トマトは8月上旬に定植。肥料は父と同じように使っていましたが、経験を重ね独自の配分を生み出し、粉状の肥料を10㌧のタンクに入った水7㌧に溶かして栽培ベッドに送っています。溶液は、およそ1週間に1回のペースで5㌧を足しています。「根がダイレクトに栄養を吸収してくれるから、良いものが出来る」と水耕栽培のメリットを話します。収穫は11月上旬から始まり、12月に最盛期を迎えます。

中丸洋平さん 港北区新羽町

順調な一方でトマトの形が悪かったり、割れてしまったりと、B品が多く出来ることが悩み。解決されれば収益向上も見込めると、今年取り入れたのが、光合成を助けるCO2発生機。生育環境から改善することにしました。この機械では、スマートフォンなどで室内の状況をいつでも確認でき、集めたデータを翌年へと生かしていきます。〝品質向上はもちろんだが、ロスを無くす〟これが中丸さんの今の目標です。

相原重幸さん 泉区新橋町

相原重幸さん 泉区新橋町

泉区新橋町は谷戸のような地形で、強風の心配も少ない。もともと田んぼだった畑には水分が十分にあり、ナス栽培に適した土地だそうです。この地で相原さんはナスを主力に、ダイコンや長ネギなどを栽培しています。地元農家の結束は固く、かつて出荷先を失ったときは、力を合わせて共同販売を始めたこともあります。協力して作った資材は、今や欠かせないものに。

相原重幸さん 泉区新橋町

今年は「千両2号」の苗600本を注文し、4月中旬に定植。5月の連休明けに、鉄パイプを設置しました。株の6段目まではテープで固定し、風で実にすり傷ができないようにしています。株は「四本仕立て」で、株間を昨年より10センチ広げ、70センチにすることで病気の対策をしました。ダニやアザミウマなどの害虫発生にも毎日、細心の注意を払っています。夏場に大きく枝を切り詰める更新剪定はせず、追肥も2回で、霜が降りる11月まで収穫を続けます。

ナスは朝4時半ごろから、7時前までに収穫。台車に籠を前後2列に置き、手元にナス、前方は、切り戻した枝葉入れます。同時に行うことで、普段の作業を軽減します。ナスは収穫後、鮮度保持のため、すぐに袋詰めまで行います。形の同じ5本を選別し、見栄えも意識。滑りを良くするため、薄手の手袋で作業し、あっという間に終わらせます。

相原重幸さん 泉区新橋町

畑にいると近隣住民によく声をかけられるそうです。2㍍まで伸びる株を見て「普通のナスですか」と驚かれています。家庭菜園ブームもあり、栽培法も聞かれ、教えているそうです。相原さんは今の生育環境に満足せずに「品質にもこだわり、これからも、良いと思ったことは迷わず取り入れ、今年以上に、おいしいナスを作っていく」と力強く話した。この熱い気持ちと向上心が、明日へのやる気につながっています。

長谷川昌章さん、弘和さん 泉区中田北

長谷川昌章さん、弘和さん 泉区中田北

泉区は市内でも農地面積が最も多く、農業が盛んな地域。区の中央に位置する中田農業専用地区で、果樹園「誠長園」を営む長谷川昌章さん・弘和さん親子は、かながわブランドの「浜なし」の他、ブドウやカキ、イチジクを栽培しています。畑前の直売所で、8月から10月にかけて旬の果実を販売。連日、「誠長園」の味を求めて客でにぎわいます。

10年ほど前に植木生産業から移行して始めた果樹栽培。植木から果樹への転向は難しいといわれていますが、「木を育てる点では同じ」と、臆することなくチャレンジし、大きな病害にも遭わずにここまで来ました。

長谷川昌章さん、弘和さん 泉区中田北

同園では、ナシの栽培に神奈川県が特許技術を取得した「ジョイント仕立て法」を取り入れています。一本一本の樹を隣の樹に接ぎ木で連結させる方法で、市内でも取り入れている農家は数戸しかありません。苗づくりは大変ですが、樹が生長すれば、剪定作業など毎年の作業は格段に省力化されるといいます。

長谷川昌章さん、弘和さん 泉区中田北

ブドウ栽培でも、作業が省力化され作業効率の良い技術を取り入れています。人気の「シャインマスカット」や「藤稔」、「安芸クイーン」を育てています。
ここ数年は、昌章さんがブドウ、弘和さんがナシと、分業するように。互いの好みに合っていて、「自分のイメージした通りに房を作っていくのが楽しい」と昌章さん。弘和さんは「その年によって実の成り方が違って奥深い」と、それぞれの魅力を話します。

直売所では、家族総出で対応します。「誠長園」のフェイスブックやツイッターでも直売状況を発信しています。失敗して思うように収穫できなかった年の翌年に「やっと食べられる」と買いに来てくれたお客さんの笑顔に励まされたことも。毎年楽しみにしてくれるお客さんに喜ばれるよう、日々、果樹と向き合っています。

加藤克己さん 緑区新治町

加藤克己さん 緑区新治町

JR横浜線「中山駅」にほど近い緑区新治町は、里山風景が残る地域。この地で年間15品目の野菜を生産する加藤克己さんは、「自分の食べたい野菜」「間違いなく売れる野菜」を選び、13店舗あるJAの「ハマッ子」直売所のうち、中里店と四季菜館へ出荷。生産者数の少ない野菜を見極めています。

加藤克己さん 緑区新治町

夏の売れ筋はトウモロコシ。他の野菜より栽培面積を広く取り、6月中旬から8月中旬まで出荷しています。品種は「ゴールドラッシュ」で、毎朝5時に畑へ向かい、一度に約200本を収穫。出荷準備をし、9時頃には直売所に並べます。

「消費者の好みは、収穫したままの姿が良いという人と、自宅で処理しやすい方が良いという人に分かれます」。トウモロコシは皮つきと、一部の皮を取り除いて実が見える状態で袋詰めしたものの2種類を用意。陳列時は、人目に付きやすい位置に袋入りのものを並べています。

加藤克己さん 緑区新治町

「直売所に並ぶ荷を見ると、どれもきれい。自分も、それに近付けるようにしています」と加藤さん。どんなに味の良い野菜でも、荷姿が悪ければ、売れ行きは落ちてしまうといいます。「全ての品を完璧な荷姿にするのは難しいけど、自分の品を手に取ってもらうチャンスを広げていきます」。

毎週日曜日には、JAの新治支店で開かれる朝市にも参加し、地域の農業・農産物をPRしています。