JA横浜営農情報_2025年10月
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14     厳しい残暑がやっと終わりに近づいてきて、ほっとしているところで、野菜も安心してこれから生育が旺盛になり、収穫期を迎える追い込みに入った頃と思います。 今回は、あまり触れることが少ない除草剤についてです。 生産者にとっては便利な薬剤ですが、消費者からは厳しい目で見られることがあります。 最近、使い方を間違える事故が増加しています。 今一度、初心に返って、謙虚に使い方を再確認する機会になれば幸いです。 1.除草剤とは 除草剤は、字の通り、草を枯らす薬剤です。 栽培する野菜も「草」の一種ですので、以下の注意点を守り、野菜に影響のない使い方をしてください。 ① 器具類を分ける、② 作物に影響が出ない時期に使う、③ 作物に影響が出ない使い方をする、④ 周辺環境に影響が出ないように使う。  除草剤を使う時は、「野菜に危険がある薬剤を使用している」という感覚・自覚を持って、正しく・安全に使います。  今回は生育している雑草を枯らす除草剤である「茎葉処理剤」についてです。 今更ですが、再確認していただき、安全で効果的に使ってください。 2.茎葉処理除草剤の効果① 茎葉処理剤とは:雑草が生育しているときに枯らす除草剤を、「茎葉処理剤」といいます。 ② 茎葉処理剤の効果:主に雑草の葉に薬液が付着し、葉の内部にしみ込み雑草を枯らします。 薬液が確実に葉に付着することが基本です。 大半の茎葉処理剤は根からは吸収されません。 ③ 土壌中で分解:一般的な茎葉処理除草剤は、成分が土に落ちたあと、極短時間で土壌粒子に吸着されます。 その後、土壌中の微生物により水や炭酸ガス、アンモニア等に分解されます。 ④ 散布後の作付け:使用基準を守って、作付けまでの期間を空けます。 剤によっては、完全に枯草しない状態で土壌にすき込んでも、成分が確実に効果を発揮するため、問題はありません。 3.除草剤の散布① 散布適期:雑草の草丈30㎝程度以下が望ましいです。 1㍍以上の場合は、刈り払い機等で草刈り後の再生雑草に散布します。 ◇主な茎葉処理除草剤の種類と枯草までの期間目安今月の成分(農薬コード)グリホサートカリウム塩(h9)グリホシネートPナトリウム塩(h10)グリホシネート(h10)ジクワット+パラコート(h22+h22)商品名ラウンドアップマックスロードザクサ液剤バスタ液剤プリグロックスL主な効果枯草までの期間根まで枯らす2~3週間1~2週間根は枯らさない 1~2週間3~5日営農技術顧問 山田 良雄【野菜】(注) 除草剤にも「使用基準」が定められています。 間違えて使用した場合、該当する野菜は出荷できません。 自己責任でも食べることはお勧めしません。 他から飛散(ドリフト)した場合、当該作物に登録がない場合は、廃棄する必要があります。 登録があり使用基準の範囲内の場合は、除草剤の被害程度を考慮して判断します。  根まで枯らしたい場合、雑草の生育が旺盛な時期や花が咲く頃、地下部が肥大する秋の頃を目安に、ラウンドアップ(h9)を散布します。 ② 散布液量:薬剤ごとの使用基準を守ります。 雑草に薬液が十分かかる程度が目安です。 基準薬液量が1a当たり10~15㍑の場合、一般的な目安は、次の通りです。 Ⓐ 雑草が生育初期・概ね草丈10㎝以下:少なめの10㍑。 Ⓑ 雑草が繁茂・草丈が30㎝程度:多めの15㍑程度。 ③ 希釈倍率:除草剤の使用基準には、希釈倍率の記載はありません。 散布する面積当たりに散布する薬液量を守ることが基本であり重要です。 Ⓐ 一般的な目安:一年生雑草で雑草の生育初期の場合200倍程度。 Ⓑ 多年生雑草等が繁茂している場合100~150倍。 ④ 散布時間帯:雑草の茎葉に水滴がない状態での散布が望ましいです。 散布後、茎葉に確実に付着させるため、4時間程度は降雨が無く、夜露が降りない状況が望ましいです。 4.薬剤の混用① 展着剤:各薬剤に最適な展着剤が含まれているため、展着剤は原則加用しません。 別途加えることにより、バランスが崩れるなどして効果が低下する可能性があります。 ② 茎葉処理剤の混用:あまりお勧めはしませんが、茎葉除草剤の混用は可能です。 *高濃度・少量散布基準がある場合は、適合する機器を使い、使用基準を守って散布します。 *根まで枯らす:雑草の茎葉に付着した成分が吸収され、根まで能動的に移行することにより効果を発揮します。*ラウンドアップとすぐ枯れるプリグロックスL等他の茎葉処理剤との混用は避けます。 雑草が散布後すぐに枯れると、ラウンドアップの成分が根へ移動できなくなるため、根は枯れません。 *生育期・畦間散布の場合、収穫前日数を守って、作物にかからないよう注意します。 茎葉処理除草剤の使い方

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