JA横浜営農情報_2025年9月
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5.抗生物質の種類と作用機作 農作物の細菌病に使用可能な抗生物質にはいくつかの種類があり、作用機作(さようきさ=効果を発揮する仕組み)に違いがあります(表4)。 ストレプトマイシンやオキシテトラサイクリンは耐性菌発生リスクが高い等を考慮し、種類の違うものをローテーション使用することをお勧めします。 6.抗生物質による薬害 気温が高いときに散布すると、植物細胞にも作用し、葉などが黄化することがありますが、多くの場合回復します。 理想ですが、1回の散布であれば前日から3日前の散布が効果的です。 意外と思われるかもしれませんが、細菌は増殖スピードが速いため、事前に菌密度を低下させておくことが、有効です。 10.細菌病防除の注意点 銅剤はキャベツの結球期以降に散布すると、結球部に薬害が発生しやすいので注意が必要です。 7.銅剤の種類と作用 細菌病に効果のある薬剤として、抗生物質の他に銅剤があります。 銅イオン膜により病原菌の細胞壁・細胞膜を破壊し、植物体への細菌の侵入を防ぐ働きをしますが、基本的に予防的な効果です。 無機銅剤と有機銅剤で次のような違いがあります。 無機銅剤:銅イオンの活性が高く細菌への殺菌有機銅剤:病原菌への浸透力が高く糸状菌(カ 8.細菌病に効果のある農薬 (表5)に主なものを整理しました。 参考までに、ダイコンとキャベツへの適用とキャベツにおける推奨散布時期を付記します。 表中の「類型」は別表を参照してください。 9.防除のタイミング ①①①②②③④③③〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇5 理想的には細菌病が感染・発病しやすい事象(台風、降雨、強風)の前後に薬剤散布することがまた、殺虫剤であるBT剤と混用するとBT剤の効果が低下します。  病害の種類によっては、ブロッコリーの黒すす病のように、細菌病と紛らわしいものがあり、診断や薬剤の選択を間違えると蔓延する恐れがあります。 アブラナ科野菜のように、細菌病、糸状菌病両方が発生する可能性があるものは、それぞれに効果のある薬剤を予防的に散布しましょう。 表4 農作物に使用可能な抗生物質と作用機作表5 細菌病に効果のある農薬別表作用機作含まれる農薬名マテリーナ水和剤(混合剤)カスミンボルドー(混合剤)カセット水和剤(混合剤)バリダシン液剤5スターナ水和剤カセット水和剤(混合剤)マテリーナ水和剤(混合剤)有効成分(成分量の多い順に記載)適 用FRACダイコンキャベツM01 (M)M01 (M)M01 (M)M01 (M)M01 (M)M01 (M)+31(A4)M01 (M)+24(D3)25(M)+31(A4)31(A4)+24(D3)25(M)+41(D)31(A4)41(D)U18(U)推奨散布時期(キャベツ)活着期 生育期 結球始 結球期 収穫前抗生物質名オキシテトラサイクリンタンパク質の合成を阻害 マイコシールドストレプトマイシン栄養補給を阻害カスガマイシン栄養補給を阻害バリダマイシン栄養源(ブドウ糖)の生成を阻害菌体増殖時のDNA分裂に係る酵素を阻害オキソリニック酸農薬名類型Zボルドー無機銅(塩基性硫酸銅)クプロシールド無機銅(塩基性硫酸銅)コサイド3000無機銅(水酸化第二銅)キノンドー水和剤40有機銅(8-ヒドロキシキノリン銅)ヨネポン水和剤有機銅(ノニルフェノールスルホン酸銅)有機銅(8-ヒドロキシキノリン銅)、オキソリニック酸ナレート水和剤②+④カスミンボルドー無機銅(塩基性塩化銅)カスガマイシン(カッパーシン水和剤)①+③ストレプトマイシンオキソリニック酸マテリーナ水和剤③+④カセット水和剤④+③オキソリニック酸カスガマイシンアグリマイシン-100ストレプトマイシンオキシテトラサイクリンスターナ水和剤オキソリニック酸マイコシールドオキシテトラサイクリンバリダシン液剤5パリダマイシン効果が高い。ビ)にも効果がある。 銅 剤無機銅   ・・①有機銅   ・・②抗生物質天然物由来・・・・③化学合成由来・・④

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