JA横浜営農情報_2025年9月
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24  今月の 9月に入ると、夏の星座は夕方には西に傾き、秋の星座で唯一の1等星「みなみのうお座」のフォーマルハウトが南の空にポツンと光っています。 このあたりには「みずがめ座」や「うお座」のように、水に関係のある星座が多く、農耕にとって水が重要な時期であったことが関係しているといわれています。 この時期は秋の長雨や台風のシーズンでもあり、細菌病の防除を心掛ける時期でもあります。 1.野菜の細菌病 代表的なものを(表1)に挙げます。  葉や収穫物の表面に被害を及ぼすものが多くありますが、ダイコンの黒斑細菌病による黒芯症のように収穫物の外観からは判別できず、内部の被害がクレームにつながるものもあり、適切な防除が必要です。 2.細菌病の発病条件 一般的に細菌は高温多湿条件で増殖しやすいとされていますが、発病条件は作物の種類によって異なります。 ダイコンの黒斑細菌病による黒芯症は地上部の凍害、肥料切れで発病が増加し、キャベツの黒腐病は低温多湿条件で発病が増加糸状菌(いもち病菌)表2 細菌と糸状菌の違い表3 細菌病の防除方法0.001mm1677万倍/10時間防除方法抵抗性、耐病性品種の利用栽培環境の改善(乾燥、除草)適正な肥培管理抗生物質剤銅 剤抵抗性誘導剤0.1~1mm5~6倍/10時間事例等トマト青枯病耐病性台木摘葉、喚起による湿度低減高畝による排水促進中間宿主雑草の除去ダイコンの肥切れ防止カスガマイシン等無機銅剤、有機銅剤プロベナゾール 病 名病原菌Pseudomonas syringaeRalstonia solanacearumClavibacter michiganensisPectobacterium carotovorumErwiniacarotovoraXanthomonas campestrisPseudomonas marginalisPseudomonas syringae大きさ増殖速度分 類耕種的防除化学的防除(農薬)作 物キュウリ、ピーマン、レタス斑点細菌病トマト、ナス青枯病トマトかいよう病カボチャ果実斑点細菌病 Pseudomonas syringaeブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、レタス、ダイコン軟腐病ネギ、タマネギ軟腐病ブロッコリー、キャベツ黒腐病レタス腐敗病ダイコン、キャベツ黒斑細菌病営農技術顧問 原  康明みずがめ座 M2 球状星団(金沢区で撮影)細菌【野菜】します。 基本的に、作物に傷口があると感染しやすいため、台風等による強風や豪雨、厳寒期の凍害は注意が必要です。 3.細菌病の特徴 植物病害の原因菌は、糸状菌(カビ)、細菌(バクテリア)、ウイルスに大別されます。 このうち、殺菌剤による防除が可能なものは糸状菌と細菌ですが、(表2)のように大きな違いがあります。  細菌の大きさは糸状菌の1/100以下、増殖の速さは糸状菌の2百万倍以上です。  発病してしまうと、あっという間に増殖するため、発病前の予防が重要です。 4.細菌病の防除方法 細菌病の防除方法には、農薬に頼らない耕種的防除方法と農薬による化学的防除方法があります(表3)。 予防を主体とした防除が重要なので、複数の防除方法を組み合わせた総合防除(IPM)をお勧めします。 表1 野菜の細菌病キャベツの外葉に発生した黒腐病の病斑野菜の細菌病と防除方法

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