JA横浜営農情報_2025年6月
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1 センチュウ類とは?2 センチュウ類の生態と主な種類  センチュウ類の活動適温は15~30℃(種により異なる)です。最適条件下で1世代期間は1か月程度、年に3~4世代を繰り返します。植物に寄生するセンチュウ類は複数いますが、主に問題となるのはネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウ、シストセンチュウです。3 防除方法神奈川県農業技術センター横浜川崎地区事務所TEL.045-934-237610表 1 センチュウの種類と被害の特徴センチュウの種類ネコブセンチュウネグサレセンチュウシストセンチュウ被 害 の 特 徴● 寄生を受けた根が、がんしゅ状のコブを形成● 寄主範囲が広い(例:サツマイモネコブセンチュウの場合、イチゴと落 ● 根の組織内に侵入し、根を褐変させる● 寄主範囲が広く、ほとんどの作物に寄生● 包嚢(シスト)を形成● 寄主範囲が狭い(例:ジャガイモシストセンチュウ→ジャガイモに寄生 ダイズシストセンチュウ → ダイズ、インゲン等マ メ科に寄生) 花生を除いて主要な作物のほぼ全てに寄生) センチュウ類は植物の根に寄生し、農作物の収量・品質低下をもたらす厄介な害虫です。被害部位は主に地下部の根で、生育初期の寄生や土壌中のセンチュウ密度が高い場合、地上部の萎れや葉の黄化、立枯れ等の症状が現れます。センチュウ類の外観はミミズ状で、長さ0.3~1.0㎜、幅15~35μmほどの小さな虫であるため肉眼での観察は難しく、生育不良や萎れ、根コブの形成などの症状が現れてから被害に気づくことが多いです。 センチュウ類に対する主な防除方法は次のとおりです。(1)殺センチュウ剤の使用センチュウ類に適用のある農薬は定植や播種の一定期間前に土壌に処理する土壌消毒剤(くん蒸剤タイプ)と、定植や播種前に土壌施用する粒剤タイプがあります。土壌消毒剤はガス化することで効果を発揮しますが、使用方法を誤ると思わぬ事故の原因になることがあるので、近隣に住宅等がある圃場では使用を避けるなど、圃場の立地や栽培スケジュール等に応じて処理方法を選びましょう。※農薬を使用する際は、必ずラベルの表示を確認し、適用農作物、使用時期、使用方法、適用病害虫等を確認してから使用するようにしましょう。(2)太陽熱土壌消毒近年、夏場に気温が高い傾向が続いていますが、この高温を利用して太陽熱土壌消毒を行うのもおすすめです。手順としては❶ 圃場をなるべく深耕、うね立てする。❷ うね間に一時湛水状態になるまで灌水。❸ マルチ被覆し、密閉した状態を保つ。盛夏で30 日程度そのままにしておく。地表から15~20㎝で最低40℃以上の温度を約1週間継続させることで防除効果があります。露地ではセンチュウの防除効果は表層10㎝程度です。深い層の土壌と混ざらないように、耕うんせずそのまま定植・播種作業をしましょう。(3)センチュウ抑制作物の栽培圃場の輪作体系の中に、緑肥等の栽培を組み込むことでセンチュウの密度抑制効果を図る方法です。緑肥が殺センチュウ物質を作るものや緑肥の根にセンチュウを侵入させ、根の中でセンチュウの成育を止める等、抑制メカニズムは様々です。また、緑肥の種類によって対象となるセンチュウの種類が異なるため、自身の圃場で問題となっているセンチュウに効果のある緑肥を選ぶことが重要です。緑肥等の選定は各種苗会社のカタログ等を参考にしましょう。 6月に入り、いよいよダイコンやニンジンといった根菜類の作付け前の準備期間が近づいてきました。農作物に被害が出てからの防除は難しいため、事前の防除に努めましょう。(担当 井上)センチュウ類の生態と防除方法について

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