JA横浜営農情報_2025年5月
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神奈川県農業技術センター横浜川崎地区事務所TEL.045-934-2374果樹の樹相診断を行ってみましょう(担当 小田切) 新緑のまぶしい時期となりました。ウメやモモ、ナシなどは開花を終え、ブドウやキウイフルーツはこれから開花を迎え、今年の収穫が待ち遠しい時でもあります。 樹相診断とは樹体の様子を見て樹勢を判断することです。作物の生育も普段から様子を見て皆さん栽培管理を行っていると思います。ただその時にどこを見てどう判断するか、そして今後の管理にどう活かすかが重要です。 診断時期は作物の生育時期で変化が見られる期間はいつでも、生育の節目には是非とも行いたいものです。 栽培における樹体管理としては果実管理と枝梢管理があり、この2つの管理のバランスと土壌管理、防除管理を適切に行うことが良品生産につながります。 果実管理では開花の時期、揃い、花台の太さ、花梗の太さ・長さ、花の大きさ、花弁数や雌芯や雄芯の数など、着果してからは着果数や果実肥大状況などに着目します。 果実管理では数の調整が主体となりますが多すぎれば小さな果実となりますし、少なすぎても栄養生長が盛んとなり小さな果実となります。少なければ必ずしも大きな果実が得られるわけではないのです。 枝梢管理では萌芽時期、揃い、新梢の数や太さ、伸び具合、葉の形、大きさ、色、厚さ、硬さなどに着目します。 枝梢管理では樹の勢いの調整となり、芽かきや摘除などの数の調整だけでなく、誘引や摘心など勢いの程度の調整が肝要となります。 新梢を伸ばしたい時期、伸長停止して充実させたい時期など観察して判断できる項目はたくさんありますので、少しずつ増やして観察を続けましょう。 左:伸び続ける新梢        (ブドウ)右:伸長停止前の新梢 (巻きづるの長さや角度に注視) 今は剪定で残した枝から新梢が発生している状態です。新梢を伸ばしたい部位で伸びだしているか、伸ばしたくない部位で伸びだしていないか観察してみましょう。 骨格枝や予備枝の先端や剪定時の切り口からの新梢は伸びていなければなりません。来月になれば順次伸長を停止して葉で作った養分を果実に分配していくよう促します。 樹勢が強ければ、新梢を捻枝や誘引したり、場合によっては夏季剪定で剪除し、冬の剪定や施肥を見直す必要があります。樹勢が弱ければ、摘果を行い、施肥を分施したり、土壌水分管理を見直す必要があります。 果樹は永年性作物のため、日ごろの管理が将来の生育に影響します。「いい加減」な管理でなく、「良い加減」の管理を行うためにも日頃の観察と管理の検討をお願いします。8

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