今月の生育開始前や生育初期の防除等を徹底しましょう営農技術顧問 北尾 一郎 〈 休眠期(2月下旬~3月上旬)の防除 〉 ハダニ類、カイガラムシ類、ニセナシサビダニ(写真1)の休眠期防除として、ハーベストオイル【NC】100倍とアプロードフロアブル【16】1000倍を混用散布してください。 ハーベストオイルはニセナシサビダニにも効果があります。 なお、黒星病対策としては、萌芽前にオキシラン水和剤【M01+M04】を散布しましょう。 〈 鱗片脱落期の防除 〉 この時期は黒星病の初期防除のため、従来から防除暦にはアントラコール顆粒水和剤【M03】500倍又はトレノックスフロアブル【M03】500倍と記載されていますが、ニセナシザビダニの発生が気になる園ではアントラコール顆粒水和剤のほうを使用してください。 なお、アントラコール顆粒水和剤は新葉展開期の散布で、緑化が遅れる場合があります。 また、かぶれることがありますので注意してください。 〈 開花直前の防除 〉 従来の防除暦では、殺虫剤としてダイアジノン水和剤34【1B】1000倍となっていますが、今年の春の受粉にミツバチやクロマルハナバチ、その他訪花昆虫を活用される場合は、それらに影響が少ないウララDF【29】2000倍を使ってください。 ただし、ウララDFはハマキムシ類、シンクイムシ類には登録がありません。 (ほぼ、アブラムシ類専用です) 〈 芽傷処理 〉 近年は多くの圃場でH型平行整枝短梢剪定を導入しています。 この仕立て法では主枝部分からしっかりと発芽させ、その後も「芽座」として使う必要があります。 若木園では主枝延長枝の部分に必ず芽傷を入れてください。 時期は2月中下旬です。 発芽させたい芽の先5㎜ほどのところに幅1㎝程度で形成層まで切れ込みを入れます。 〈 樹液流動期の水管理 〉 一般的にブドウでは3月が樹液流動期にあたります。 樹液流動の開始から発芽までの水不足は、発芽不良や発芽遅延につながり、その後の新梢成長のバラツキの要因となります。 樹液流動開始前に土壌が乾燥している場合には25~30㎜を目安に潅水してください。 草生栽培園では草の生育が始まり、草との水分競合が起こるので定期的な潅水に心がけてください。 なお、潅水作業は、地温上昇も考慮して晴天時の午前中が望ましいとされています。 【果樹】2ブドウナ シ ウメの開花が始まり、今月下旬になると徐々に気候が春めいてきます。 また3月になるとブドウの生育開始前管理、ナシ、カキ、キウイフルーツの萌芽直前防除などの時期を迎えます。 近年、増加しているレモン、オレンジ、「はるみ」など、かいよう病に弱いカンキツは初期防除が特に大切です。 芽傷芽傷先端方向先端方向【 写真1 ニセナシサビダニ被害葉 】【 写真1 ニセナシサビダニ被害葉 】10
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