JA横浜営農情報_2025年1月
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神奈川県農業技術センター横浜川崎地区事務所TEL.045-934-2374樹木類の新害虫チュウゴクアミガサハゴロモ(担当 堀越) 本年8月に農業技術センター病害虫防除部よりチュウゴクアミガサハゴロモに対する病害虫発生予察特殊報が出されました。JA横浜管内でも昨年頃から散見され、今年の夏以降急速に寄生・被害が広がっています チュウゴクアミガサハゴロモ(Ricania shantungensis )は中国を原産地とし、欧州や韓国などで分布が確認されている樹木類を加害する侵入害虫で、国内では本州及び九州において2017年ごろから分布が確認されています。本年5~6月に、県内の樹木類生産者からハゴロモ類の産卵痕による樹の衰弱等の被害について、病害虫防除部に診断依頼があり、幼虫および成虫を採集し、農林水産省横浜植物防疫所に同定依頼した結果、チュウゴクアミガサハゴロモと同定されました。 本種は広食性で、県内では、モクセイ科、ツツジ科、モチノキ科、ニシキギ科、ヒノキ科およびフトモモ科樹種への寄生を確認しています。 幼虫は白色で、腹部から白い糸状の蝋物質の毛束を広げます(図2)。成虫は体長14~15㎜、前翅長14㎜程度で、前翅は茶褐色から鉄さび色で、前翅前縁中央部の白斑は扁平な半円形かつ輪郭が直線的(図1)です。生態には不明な点が多くありますが、韓国などの文献には、越冬卵から翌春孵化し、5齢幼虫が夏に成虫となり秋遅くまで寄生樹の新梢に産卵する、年1回発生との記載があります。 成虫と幼虫は枝に寄生、吸汁し、発生が著しいと排泄物によりすす病を発症します。産卵の際に枝を傷つけることで樹勢を衰弱させ(図3及び4)、直径10㎜以下の当年伸びた枝に産卵するため、枝が折れたり、孵化後被害部の枝枯れの原因となることもあります。 令和6年7月現在、ブルーベリー、オリーブおよび樹木類では本種に登録のある防除薬剤はありません。 本種の産卵痕には白い蝋物質が付着しているので比較的容易に発見できます。産卵痕がある枝は見つけ次第除去し、焼却や埋却など適切に処分し、翌年の発生原因を除去する耕種的防除に努めましょう。図1チュウゴクアミガサハゴロモ成虫前翅前縁中央部の白斑が特徴図2チュウゴクアミガサハゴロモ幼虫腹部に糸状の蝋物質をまとう図3イヌツゲの産卵痕細い枝を筋状に加害し産卵蝋物質が目立つ図4オリーブの産卵痕蝋物質を除去した状態加害枝内に卵が産卵されている図1,2,4は病害虫防除部特殊報より( https://www.pref.kanagawa.jp/ documents/108747/ 20240814tokusyuhou.pdf )6

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