1【農政の動き】 4月に「改正農業協同組合法」が施行され、JAは組合員の農業所得増大に向け、最大限配慮することや、事業の的確な遂行により、高い収益性を実現することなどが規定されました。准組合員の事業利用制限などは先送りされましたが、理事の過半数を認定農業者や農産物の販売等に実践的能力を有する者とすることや、公認会計士監査の導入等が進められています。11月には「農林水産業・地域の活力創造プラン」が改訂され、生産資材価格形成の仕組みの見直しや、流通・加工の構造改革など、13項目の農業競争力強化プログラムを設定しました。同プログラムでは全農改革を明記するなど、JAグループの改革を直接進捗管理する内容が盛り込まれました。【都市農業振興基本法】 平成27年4月に施行された「都市農業振興基本法」は都市農地の役割を初めて法的に認知するもので、都市農地の存続に向けた税制上の措置が期待されました。先頃、閣議決定された生産緑地法の改正案では、一律500㎡の面積要件を300㎡まで引き下げ可能にすることや、新たに市町村長が指定することができる「特定生産緑地制度」が創設されることになりました。 面積要件の緩和に関しては、現行の税制特例(相続税・贈与税の納税猶予制度)が適用されることとなっています。 特定生産緑地制度は、都市計画決定の告示後30年経過する生産緑地について、特に引き続き保全が必要と認めるものを指定することができるもので、その場合買取り申し出ができる時期は、特定生産緑地としての指定期限となる10年を経過する日となります。 なお、30年経過する生産緑地に対する税制上の措置は、現在のところ不明で、今後注視する必要があります。【JA横浜における自己改革の取り組み】 JA横浜は、自主・自立の協同組合組織として自己改革に取り組みました。平成28年度事業計画と併せて、「JA横浜自己改革実施計画」と「自己改革数値目標」を設定し、四半期ごとにその進捗状況について、理事会、支店運営委員会等において報告をいたしました。 4月には、自己改革の着実な実践に向け、業務機構上の営農経済部門を再編し、「横浜農業総合対策室」「営農経済部」「販売部」を設置し体制を整備しました。 「JA横浜自己改革」は、①営農支援の強化 ②生産コスト低減対策 ③販売力向上対策④6次産業化等新規分野への取り組みを「4つの柱」として掲げ、横浜農業の担い手である組合員の農業所得の増大に向けた、数々の施策を実施しています。その中の主な施策として①営農支援の強化では、4月に「営農インストラクター」12名を地区配置し、担い手への戸別訪問活動を新たに開始しました。また、担い手の農業所得向上を目的に、横浜農業強化対策積立金を活用した助成金制度や、農薬の適正管理を目的とした不要な農薬の無料回収を実施しました。②生産コスト低減対策では、相見積りや価格交渉を徹底し、仕入れ価格を抑制するとともに、横浜農業強化対策積立金を活用し、生産資材価格の低減を通年実施しました。③販売力向上対策として、新たな販路の開拓につとめ、新規の販売先や「ハマッ子」直売所の活性化に取り組み、特に「ハマッ子」直売所の売上げ増につながりました。④6次産業化等新規分野への取り組みでは、担い手、女性農業者等が参加した6次産業化プロジェクトの検討結果を踏まえ、実施可能な施策を選定し、10月から6次産業化に特化した専門的な研修会を開催し、高い意識を持つ参加組合員にプラスとなる施策を実施しました。2016年 農政・農業・JAをめぐる情勢
元のページ ../index.html#3