隅々まではとても手が回らず、その一部は他の農家に借りてもらい、やむなく経営規模を縮小した。究に打ち込み、専攻を生かした就職も考えていた安西さんだが、家業の厳しい状況を知り一念発起。就農を決意した。「家に戻って家族全員で力を合わせ、経営を回復させたいと思った。自分が後継者であることを初めて意識した瞬間だった」と振り返る。アカデミーで1年間学んだ。実学を身に付け、多くの仲間に出会ってほしいという母の強い勧めを受けてのことだった。思いは通じ、アカデミーでは同世代の後継者たちと意気投合。経営形態や作目は異なるものの、今も頻繁に顔を合わせている。を目指す年長の仲間からは、社会人として培った販売やマーケティングなどのノウハウを教わった。これも貴重な財産になったという。農地を少しずつ返してもらい、キャベ当時、東京農業大学で微生物の研大学卒業後は、県立かながわ農業一方、脱サラで農業への新規参入家業に就いてからは、貸していたツ畑は就農当初の70㌃から90㌃まで回復した。痩せていた畑の地力向上には、JAの営農インストラクターに相談し、従来の堆肥より作業負担の少ないペレット状の「スーパーコンポ」を活用。キャベツのサイズは徐々にそろうようになってきた。作付け品目も見直し、これまでのキャベツ一本の経営を転換した。端境期を活用し、共販出荷が行われない夏にトウモロコシとカボチャ、年明けにはブロッコリーが収穫できるよう新規に導入。JAの一括販売や「ハマッ子」直売所への出荷を通して新たな収入源の確保を目指す。こうした発想は、アカデミーの〝脱サラ組〟から学んだ経営改善策が役立っている。安西さんは来シーズンから、トウモロコシの収穫体験農園を始める計画を立てている。今まで接点のなかった消費者とのつながりができれば、さらなる可能性も膨らむはずだ。「利用者の募集には、JAの『やるじゃん横浜収穫体験パーク』を活用したい。就農当初に立ち上げたインスタグラムでも大いにPRしていく」。若き担い手は現状に留まることなく、挑戦を続ける。チャレンジは止まらない 右左上左下安西ファームのインスタグラムはコチラ一玉ずつサイズを見極めて収穫する端境期に合わせて作付けを始めたブロッコリー収穫シーズンには連日、JAの集荷場にキャベツを運ぶ
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