【写真1】白化したウメの葉【写真2】葉裏のモモヒメヨコバイ技術顧問 北尾 一郎【写真3】チャバネアオカメムシ【写真5】キマダラカメムシ【写真4】クサギカメムシ土や緑とふれあう暮らし緑の情報箱地球温暖化や農業のグローバル化によって、これまで横浜にはなかった害虫や病気が問題になっています。果樹園のみならず、庭木、公園、街路樹などにも影響を与えるものもあります。今回はその中で、「モモヒメヨコバイ」「キマダラカメムシ」「クビアカツヤカミキリ」「火傷病(かしょうびょう)」を紹介します。最近、夏になると庭木のウメを含めて、ウメ・モモなどの葉の緑が抜けて白くなるのを見かけないでしょうか(写真1)。これは「モモヒメヨコバイ」という虫の被害です(写真2)。昨年(2022年)9月に神奈川県内で初めて確認された新害虫です。従来、沖縄県で分布が確認されていましたが、2019年に和歌山県で確認されて以降、本州、四国、九州の21都府県で発生が確認されています。この虫はウメ、モモ、アンズ、サクランボ、ハナウメ、ハナモモなどのバラ科の果樹を加害します。春から発生しているようですが、7月〜9月に急速に増えて葉を白くしますので、7月以降適時に防除すると良いでしょう。現在ウメに登録のあるモモヒメヨコバイの防除薬剤は、次の通りです。・マブリック水和剤20 (収穫21日前、2回)4000倍・ロディ―水和剤 (収穫7日前、3回)2000倍・アグロスリン水和剤 (収穫7日前、3回)2000倍近年、果樹園や庭、家屋周辺で見られるようになった大型のカメムシです。従来、果樹に被害を与えていたのは、チャバネアオカメムシ(写真3)、クサギカメムシ(写真4)でした。「キマダラカメムシ」は体長25㎜前後と従来のカメムシよりも一回り大きなものです。全身黒褐色で黄色い小斑点が散在しており、頭部から肩にかけて黄色い線があるのが特徴です(写真5)。台湾から東南アジア原産で、九州から上陸して急速に広がってきました。ナシ、カキ、ウメの他にサクラ、サルスベリ、ナンキンハゼなど多くの樹木に寄生し、公園、神社、街路樹などでも見られます。通常のカメムシ類に登録がある薬剤で防除できますが、飛ぶ能力が高いようです。1.「モモヒメヨコバイ」について2.「キマダラカメムシ」について果樹の新しい害虫・病気にご注意
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