JA横浜 Agri横浜 Vol.237
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せん てい掛かりな剪定は数年置きと、栽培の手間は極力省くが、収穫と出荷には忙殺される。穫翌日の出荷が自らに課したルール。新鮮な栗を食べてほしいとの思いから、出荷調整作業は深夜まで及ぶこともある。9月中旬から10月中旬まで、栗が生活の中心だ。れなどを一つずつ確認しながら重さを量り、18㌘未満のSから40㌘以上の3Lまで5種類に区分。大粒のL、LL、3Lは大きさをそろえるために、自作のスケールに当てはめて選別する徹底ぶり。500㌘単位でネットに詰め、「利平栗」「クリの王様」などのスタンプを押した荷札を結び付けてようやく完成。JA「ハマッ子」直売所みなみ店や一括販売に出荷する。妻の知子さんからは「そこまで丁寧にやらなくても」と、苦笑いされることもあるという。考えたのが、利平以外の味が似ている品種を混ぜ合わせた「いずみマロン」。響きが良く目を引くネーミン「自然落下は完熟の証し」と、収選果はすべて手作業。虫食いや割鮮度が落ちる前に売り切りたいとグで差別化し、手にとってもらうことが狙い。品種名と勘違いされることもあるが、それも計算のうちだ。横山さんの経験によると、「栗は丸くて小粒の方がおいしい」。利平は栗ご飯、いずみマロンは渋皮煮と、使い分けを勧める。ヨーロッパでは一般的な焼き栗も甘味が引き立っておいしいという。「いがつきが欲しい」という消費者の求めにも、柔軟に対応するのが横山さん流。しかし、収穫の大変さには体が悲鳴を上げることも。「体が動くうちは続けたいが、いずれ栗拾いの観光農園にするかも」と笑う。露地野菜も30品目以上を有機肥料のみで栽培。自分が食べたいものを作り、JAに出荷する他、畑の前で直売するが、残りは近所の親戚におすそ分けする。遠方の友人には宅配便で発送。人に喜ばれることが一番の励みだという横山さんが詠んだ短歌が、「楽しみは採りて配りし畑の菜食べてうましと喜ばるるとき」。晴耕雨読を理想に、自宅をリフォームし20畳の書斎兼書庫を作ったが、雨読どころか夜読もできないとか。栗が終わると、次はタマネギの定植が控える。横山さんの晴耕の日々はしばらく続きそうだ。「いずみマロン」で有利販売 右 一つずつ重さをはかり、スケールに当てはめて選果。消費者に喜んでもらいたいという思いを胸に、気の遠くなるような作業をこなす(本誌発行時には出荷終了)夢中になると途中でやめられないという 左下 落ちている栗を探しては拾う。体に負担はかかるが、 左 上JA「ハマッ子」直売所みなみ店に並ぶ「いずみマロン」

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