JA横浜 Agri横浜 Vol.237
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よせぎんいし づち昼下がり、柔らかい風がそよぐ畑から時折聞こえる不規則な音。自然に落ちたいがが地面に当たって転がり、中から完熟した栗が顔をのぞかせる。収穫の楽しさを感じる瞬間だが、いがはいつどこから落ちてくるのかわからない。頭に当たると大変なので、帽子は必需品だ。本の成木と30本の苗木を管理する。品種は主力の利平の他、国見、筑波、銀寄、石鎚、ぽろたんなど。収穫は家族の協力もあるが、通常は1人。最盛期を迎えると1日3回、朝昼夕の各2時間ほど栗を拾うが、それでも拾いきれないことがある。いよう歩いた場所を逆方向からもう一度探す。事前の下草刈りは必須。「ボトッ」「ポトン」―。秋晴れの横山さんは約20㌃で栗を栽培、50地道に目を凝らし、見落としがな自走式の草刈り機を走らせる。草丈があると落ちた栗が隠れて見えないからだ。収穫量は多い時で1日50㌔ほど。拾う際に空のいがは木の根元に寄せ、その後に落ちたものと見分けがつくようにしておく。「政治家か、ジャーナリストになりたかった」という横山さん。就職活動初日に、大学から程近い特別法で設立された金融機関を訪問したところ、「そこで捕まってしまい、そのまま内定」と振り返る。銀行マンとして仕事に明け暮れ、父親が作るブドウやキウイの作業を手伝う余裕などなかった。転機は55才。それ以前から畑の管理について思案し、「栗なら手入れが楽だろう」と、少しずつ苗木を植えて始めていた。父親が亡くなった後、本格的に増やしていったが、現実は楽あれば苦あり。追肥なし、防除なし、大1日3回の栗拾い手作業で深夜まで選果あきら泉町。市内有数のキャベツ産地として知られるが、他にも施設野菜や果樹、花き、養豚、養鶏など、農業が盛んに営まれている。町北部の三家地区で、自宅周りの畑や竹林2㌶余りを管理する横山彬さんは、60才まで勤めた後に就農し、栗を丁寧に選果してJAに出荷する。幹線道路のかまくらみちと環状4号線に挟まれた、南北に長い泉区和 丁寧な選果で栗出荷独自名称で差別化も泉区和泉町横山 彬さん(75)濱農浪漫

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