初回の試験栽培でサニーレタスを収穫するJA職員農業の省力化へJA職員が提案各所で試験栽培課題を追求屋外水耕栽培の取り組みは、JAの管理監督職を対象とした、変革のリーダーシップを発揮できる人材の育成を図る研修会「改革の火だねプログラム」での提案が始まりです。平成31年度の受講生のうち、「Easy農業〜省力化で農業を元気に〜」をテーマにした4人が、低コストで簡単に野菜栽培ができる仕組みとしてプレゼンテーションしました。4人による市内農家・農地の現状分析では、農家戸数の減少や不耕作地の増加、農家の高齢化、後継者・労働力不足が大きな課題として挙がりました。一方で、将来にわたって農地を活用したいという声が多くあることも分かりました。これらの課題を基に、まずは野菜の主な栽培方法である土耕栽培と水耕栽培の労働負担を比較し、省力化が図れる水耕栽培に着目しました。農家に話を聞きながら栽培の仕組みや導入費用を調査したところ、一般的な水耕栽培(養液栽培)はハウスや栽培システム、暖房機といった高額の設備投資が必要になると判明。農家の費用負担を減らすため、従来の施設や設備が不要な仕組みを模索する中、㈱アグリアが開発した「屋外水耕栽培」にたどり着きました。この栽培方法は、金属パイプとビニールシートで作ったプールに水を張り、専用の特殊苗を植え付けたパネルを水面に浮かすもの。これまでの水耕栽培設備に比べ導入費用が大幅に抑えられる他、液肥や温度の管理が不要なことから、省力化も期待できます。平成31年3月には、都筑区のJAきた総合センター近くの畑で試験栽培をスタート。サニーレタスやリーフレタス、葉ネギなど9品目を定植し、生育状況や出来具合を確認した結果、横浜の環境下にも合うことが分かりました。現在は、JAの横浜農業総合対策室が中心となり、実用化に向けた取り組みに着手。新たに「ミラベジ」と名付け、ロゴマークを作成。JAホームページには専用ページを設け、これまでの取り組みを紹介しています。JA職員による試験栽培は、畑以外にJA本店の屋外テラスや、泉区の営農経済センター敷地内でも実施。異なる環境下で試験することで、生育度合や水 JA横浜では、農業の省力化を目指し、屋外水耕栽培の実用化に向けて取り組みを進めています。この手法で育った野菜の総称が「ミラベジ」です。〝ミラクルな未来が来る予感〟をコンセプトに名付けました。栽培設備は、畑の他、アスファルト上やテラス・ベランダなどにも設置でき、栽培管理が簡単なことが魅力。新たな農業の形として、市内農家の協力も得ながら試験栽培を繰り返しています。これまでの収穫物は、JA「ハマッ子」直売所や出張販売、イベントで販売するなど、周知を図っています。特集では、取り組みを始めたきっかけや協力農家の声、栽培の仕組みを紹介します。特集特集〝新たな農業のカタチ〟実現へミラベジを徹底解剖
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