Agri横浜 vol.213
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技術顧問川西 隆智こはんすうとちく土や緑とふれあう暮らし皆さん、チーズは好きですか。香りが高く、こくのあるおいしさは今やフレンチやイタリアンだけでなく、世界中の料理に欠かせない食材となっています。見るからに香りがあり、ねっとりとした舌触りですが、原料はタンパク質なので食べ過ぎても太りませんよ。1 チーズができるまで凝乳酵素は哺乳期間中の牛、羊、ヤギの第4胃にあり、中でも仔牛由来のカーフレンネットは貴重な酵素です。反芻行動では消化液を集めることはできません。従来は家畜を屠畜し、胃を取り出して消化液を集めていました。しかし、これでは安定供給は受けられず、今ではケカビ(*)が生成するレンネットが利用されています。チーズは実にシンプルにできています。生乳と凝乳酵素(生乳のタンパク質を固める酵素で、仔牛の4胃にあるレンネットなど)、この2つがあればとりあえずチーズはできます。最も簡単な製造方法は、温めた牛乳に凝乳酵素を加え、重しを掛けてホエイ(生乳内の水分)を抜くだけです。カビをつけなくても、熟成させなくてもフレッシュチーズといわれるこくのある豆腐のようなチーズができます。チーズは生乳のタンパク質を凝固させ水分を搾って作りますが、100gのチーズを作るのに必要な牛乳は1000ml。つまり、10倍の量の栄養素が凝縮されています。牛乳を飲むとお腹の調子が悪くなる乳糖不耐症の人もチーズなら問題なく食べられます。2 チーズの種類現在、市販されているチーズは大きく2つに分けられます。1つは菌の発酵が進み続けるナチュラルチーズ。もう1つはチーズを加熱して溶かし再度固めるプロセスチーズで、スライスチーズや裂けるチーズなどがあります。加工していろいろな形や味付けができる特徴があります。ナチュラルチーズとプロセスチーズの違いは味の変化にあります。ナチュラルチーズは時間の経過とともに味に変化が出てきます。冷蔵庫に入れても発酵が進み、味が変化します。これは、ナチュラルチーズが加熱処理をしていないため発酵菌が生きており、その結果発酵が進むことによります。一方、プロセスチーズは時間が経っても賞味期限内であれば同じ味が保たれます。ナチュラルチーズであるフレッシュチーズは、生乳に酵素や乳酸菌を加えて固め、水分を取り除いた後の白い塊です。フレッシュタイプは熟成させません。フレッシュタイプのチーズは水分が多くクセがありません。また、味はさっぱりとしていて酸味を感じます。イタリア産チーズであるモッツァレラチーズは、水牛の乳で作った大変高価なものです。現在市販されているものは牛の乳を使っています。クセがなくさまざまな料理に使われています。緑の情報箱チーズのこと知っていますか

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