専業主婦から家業の柱へ「もったいない」から新定番に志村さつきさんは、義母、娘の女性3世代で年間約30品目の野菜や果実を生産。「地元の人たちに地元で作られた農産物を食べてもらい、地元をもっと好きになってほしい」をモットーに、直売所の運営、加工品販売、SNSの活用などさまざまなカタチで「農」の魅力を発信している。横浜市青葉区と都筑区の境、住宅街の一角に志村農園がある。園主の せん ていな住宅街に立つハウスからイチジクの甘い香りが漂う。ハウス内には赤く色づいた実を一つ一つ丁寧に収穫する志村さんの姿があった。支えてきた。農業は義父の勇さんと義母のキミ子さんが担っていたため、「農家に嫁いだとはいえ、作業にはほとんど携わっていなかった」と振り返る。17年前に義父が亡くなり、状況は一変。当時栽培していたイチゴが収穫期を迎え、真っ赤に熟した果実を前に「とにかく収穫を進めなければ」という思いで必死に作業にあたったという。その後、教員として働く夫に代わり家業を守ることを決意。JAの講座を受講しながら、本格的に農業を始めた。厳しい残暑が続く9月中旬。閑静結婚後は専業主婦として家庭を少量多品目栽培をする中で、主力のイチジクは就農以来、特に大切にしている品目。元々は義父が露地で栽培していたが、16年前にトマト栽培に使っていた施設を活用し、ハウス栽培へ切り替えた。雨風の影響を受けにくいため露地よりも収穫時期を早く、長く確保できる。トマトに使っていた栄養豊富な土も収量増加に良い影響が出ている。現在は2棟のハウスで「桝井ドーフィン」を20本栽培。以前は一文字整枝をしていたが、収量と作業効率を踏まえ、独自の剪定を行う。都市農業ならではの出荷先までの近さを生かし、樹上で完熟させてから収穫するイチジクは、果肉が柔らかくみずみずしいのが特徴で、毎シーズン楽しみにするファンも多い。収穫した野菜や果実は、JA「ハマッ子」直売所たまプラーザ店や地農の魅力を多 彩に発信地 元愛溢れる営農スタイル青葉区荏田町志村 さつきさん(63)濱 農浪 漫
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