JA横浜 Vol.236
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〇低温伸長性・低温肥大性:低温条件下でも伸長や肥大・生育を続けることができる特性。例年より低温で経過する気象予報の年でも、計画通り収穫したい場合はこの特性を持つ品種を選択すると良い。近年、異常気象が続くため、低温伸長する品種と低温条件で生育が遅くなりやすい品種を並べて栽培することが無難。〇在圃性(ざいほせい):主に、 気温が変動しても生育や品 質などに問題なく、比較的長 い期間収穫できる特性。在圃 性が低い品種の場合、収穫 が遅れたダイコンは「す」が 入りやすい、キャベツやハク サイは裂球しやすい傾向がある。1回の播種や定植で 長期間収穫可能なため、直売など少量ずつ連続して 収穫したい場合に効果的な特性。〇アントシアニン:低温条件で、葉が紫色に変化する症状の主要な色素。低温など環境ストレスを受けると出やすい。アントシアニンは、ストレスを受けて発生する活性酸素の影響を軽減するために、野菜自らが出すポリフェノールの一種。紫色のブロッコリーをゆでると緑色になるように、加温すると元の緑色に戻る場合が多い。紫色のブロッコリーやキャベツは消費者に好まれないため、最近はアントシアニンが出にくい品種が多く育成されている。土や緑とふれあう暮らし緑の情報箱技術顧問 山田 良雄「す」が入ったダイコン紫色に変色したキャベツ㊤とブロッコリーは しゅ大地の恵みを賞味しながら、紅葉を愛でる季節になりました。ラニーニャ現象から、凍みるような寒さを予感しつつ、長い経験と新しい技術を駆使、楽しみながら野菜作りに励んでください。今回は、低温の季節に野菜を栽培する場合、知っておくと便利な品種特性について紹介します。野菜(植物)は、極端な例えでいうと「動けない変温生物」に当たります。15℃以下の温度条件下では、生育活動が遅くなる、または停止します。動くことができないため、生育している場所で「じっと」耐えている感じです。冬場の厳しく不利な気象条件でも、比較的楽に栽培でき、しかもおいしい野菜の品種の改良が進んでいます。低温に関わる主な品種特性の一端を紹介します。年を越えて生育や収穫をする場合に考慮すると良い特性です。種の袋や種苗メーカーの品種解説に記載されています。〇耐寒性:低温による影響や被害の程度が少ない特性。低温条件下でも伸長や肥大するかについては、別の特性になる。厳寒期の栽培や収穫をする場合、必ず選択すべき特性。低温と野菜の品種低温の主な影響①生育が遅くなる、または停止する。②茎葉の一部や全体が紫色になる。③極端な場合は凍霜害の被害を受ける。④花芽を分化する。⑤霜柱で根が凍み上がり、生育が抑制される。⑥野菜の糖度が高まり、甘く・おいしくなりやすい。主な低温対策①品目や品種を選択する。②施設・暖房・風よけなど保温管理をする。③麦踏みや凍結軽減資材などで浸透圧を高め、寒さスト レスを軽減する。④防霜ファンなどで風を起こす。*誌面の都合上、今回は品種特性に的を絞って紹介します。品種の選択(低温と生育に関わる特性用語の紹介)低温に関わる野菜品種の特性

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