Agri横浜 vol.212
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写真2:成木のレモンの木技術顧問北尾 一郎写真1マイヤーレモンの果実(11月)せん てい土や緑とふれあう暮らし2 実がならないといってもレモンは、かんきつ類の中でも寒さに弱い種類です。温暖化してきた横浜でも、苗木や幼木の時期の冬越しは、−3℃以下になると落葉や枯死することがあるので、防寒対策が必要です(12月から2月ごろまで白色寒冷紗などで樹体を覆う)。品種は、比較的寒さに強いものを選びましょう。具体的には「リスボン」や「ビラフランカ」をお薦めします。さらに寒さに強い品種としては、オレンジとの雑種「マイヤーレモン」があります(写真1)。なお、レモンは自家受粉しますので、1本、1品種でも結実します。(2)植える場所畑の中でも日当たりが良く、霜が降りにくい、水はけのよい、風当たりが強くない場所に植えてください。風当たりが強いと、レモンの大敵である「かいよう病(写真4)」に感染しやすくなります。また、レモンの木は大きく育ちますので、空間が十分あるところに植えましょう(写真2)。(3)肥料のやり方レモンは比較的肥料を欲しがる果樹です。施肥時期は3月(年間施肥量の25%)、6月(30%)、8月(25%)、11月(20%)を目安とします。11月のみ速効性の化成肥料で、その他の時期は有機配合肥料や緩効性肥料を施してください。「楽しみに植えた果樹が何年たっても実がならない」「昔はなっていたのに最近ならなくなった」などのご相談を受けることがあります。今回は、このような悩みの中で比較的ご相談が多いレモンについて、原因と対策を説明したいと思います。1 レモンの基本(1)品種選び一口に実がならないといっても、①そもそも花が咲かない ②花が咲いてもすぐに落ちてしまう ③花が咲いて小さな実がなっても落ちてしまう―などがあり、状況によって考えられる原因も対策も異なります。(1)そもそも花が咲かない場合永年性植物であるレモンは、ある程度樹齢がたたないと花芽ができません。一般的に1本棒の1年生の苗木を植えた場合は、4年目ごろから実がなり始めます(写真3)。なお、種子をまいて育てた「実生」ですと、結実するまでもっと長くかかります。大苗を植えれば、なり始めるまでの年数の短縮は可能です。前年にたくさん花写真3:新植4年目で結実した幼木が咲いて、たくさん果実をならせた場合は、翌年に花がほとんどなくなります。これは「隔年結果」といって、かんきつ類にはよく見られる現象です。一番の原因はならせ過ぎ(着果過多)ですので、8月に摘果をして養分ロスを少なくしましょう。摘果の目安は、葉25枚に1果の割合です。木が大きくなってからならなくなるのは、剪定が強すぎて太い新梢が多くなったり、梅雨明けごろから夏枝、8月末から秋枝が伸び出すような強樹勢の場合です。夏枝や秋枝には花芽がつきません。樹高を低く抑えようとしたり、隣の木にぶつからないように枝を切り詰めると、結果として強剪定になります。強剪定になると枝の勢いが強くなって、ますます結実しにくくなります。また、生理落果もひどくなります。改善策としては、剪定を軽くすることがポイントで、徒長枝を間引く程度にするか、思い切って数年は無剪定にしてみることも良いでしょう。なお、苗木を植え付けてから5年程度は無剪定を基本とし、樹形にこだわった剪定は控えてください(樹形にこだわると、強剪定になりがちです)。緑の情報箱レモン栽培のお悩み相談

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