技術顧問 青木 隆「す上がり」した果実断面(湘南ゴールド)6月から続く猛暑も暦の上ではそろそろ一段落という時期になったかと思います。ただ、今年の長期予報では残暑が続くとされています。10月以降は収穫を迎える果樹も多く、今回はカンキツ(ウンシュウミカン等)・カキ・キウイフルーツなどの管理作業等と果樹全般の苗木の植え付けについてお伝えします。落葉果樹植え付け「上野早生」などの収穫が始まります。また、下旬ごろからは「宮川早生」「興津早生」などの早生品種の収穫が始まります。気象の状況から特に極早生・早生品種などでは、日が当たる面に日焼けが発生している可能性が高いと思われます。日焼け果実は写真のように日焼け部から腐れが発生する可能性も高いので注意してください。実施に収穫する際は、まず果実品種もあります。そのような品種特性の中で極早生品種は酸の減少が早く、3分から5分着色でも果肉の成熟が進んでいますので、外観よりも食味を確かめて、酸味が抜けたところで収穫します。それ以降の品種は果実が色づくとともに酸味が抜けていきますので、完全着色したら収穫します。また、ナツミカンやハッサクなどの中晩柑品種は12月ごろまでにはおおむね着色していますが、酸味がまだ強いので年を越えた翌年の1〜4月ごろ、長いものでは7月ごろまで樹上で酸味が抜けたのを目安に収穫するか、収穫後に追熟してから食べると良いでしょう。特に収穫前に落下してしまう品種や、寒波を受けて凍ってしまうと果肉に水分がなくなる症状(す上がり)が見られる品種は寒波が来る前の1月下旬までに収穫して追熟すると良いです。レモンなどの香酸カンキツ類は、果汁がたまっていれば収穫は可能です。スダチやカボスは香りがフレッシュな青いうちに収穫・利用すると良いでしょう。レモンやユズは青いうちでも黄色く色づいても収穫可能ですが、レモンはそのまま木にならせておくとかなり大きくなり、利用しづらくなるので注意してください。〇収穫に当たっての注意点1本の樹の中でなっている果実は成熟の程度、食にばらつきがあります。専業農家のように多くの面積で栽培している場合は樹1本を一斉に収穫することもありますが、成熟が進んだ果実から収穫し、未熟な果実は残しておき成熟してから収穫すると良いでしょう。一般的に日当たりが良い場所についた果実は成熟が早く糖度も高い傾向で、逆に樹の内側や日当たりが悪い場所の果実は成熟が遅く糖度も低い傾向にあります。ただ、本年の日焼け部に炭疽病が発生した果実(宮川早生)含量は0.7〜1%が適当とされています。これにより、数値が高いと酸っぱく感じ、逆に少ないと物足りないと感じる人が多くなるといわれています。酸度を測定するには器具等が必要になりますので、現実的には試食してみて確かめると良いでしょう。ウンシュウミカンでは果皮がまだ青くても酸度が1%を下回る【カンキツ類】〇収穫土や緑とふれあう暮らしカキ・キウイフルーツの他、リンゴやナシ、ブドウなどの落葉果樹の苗木を植え付ける場合は、11〜12月にかけてが最適な時期とされています。植え付けに当たり植穴を掘る場合は直径80㎝・深さ30㎝程度掘ります。植穴に堆肥などの有機物を入れ、埋め戻した後10〜20㎝程度盛り土をし、ここに苗木を植えます。その中で、根を広げるように植えてください。また、接ぎ木部分が出るように深植えをしないようにします。苗木が長い場合は60㎝程度に切って、支柱を添えてください。さらに、乾燥防止と苗木の活着を促進するため、株元にワラや除草後の草、黒マルチなどでマルチングをするのも良いでしょう。作業の都合等でこの時期に植え付けができない場合は、苗を仮植えさせておいて春に植え付けてください(図参照)。なお、カンキツ類などの常緑果樹の苗木植え付けは春の発芽前の春植えが一般的です。10月に入るとウンシュウミカンの極早生品種の「日南1号」カンキツ類の収穫目安は、果皮の着色と酸の量となり、酸緑の情報箱秋から冬(10〜12月ごろ)にかけての果樹の管理作業
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