ー「浜なし」は平成27年に商標登録され、以来、ブランド力も上がりましたね。土志田 商標使用にあたり、販売のためのさまざまな条件を定め、規格などについて皆で話し合って細かく取り決めました。「浜なし」のブランド価値を維持し、傷つけないための基準で、これにより消費者の信頼も高まったものと思います。ー価格は消費者に納得していただいていますか?北 見 私たちは厳しい基準を設けて「浜なし」を育てています。「スーパーの品より高い」と言われることもありますが、樹上で完熟させた大ぶりの果実を一度味わえば、どなたも納得してくださいます。土志田 県外の大産地と比べれば果樹園の規模ははるかに小さいですが、小規模だからこそ目が行き届くし、きめ細かい管理ができる。「浜なし」のおいしさの理由はここにあります。ー「ハマッ子」直売所では、出荷者自身が農産物の売値を決めているそうですね。これなら生産コストを反映した適正な価格で野菜が売れると思うのですが。斉 藤 必ずしもそうとは言えません。メルカートきた店ではこれまで規格や荷姿などに関する取り決めがなかったため、出荷された商品に統一性がなく、安い値段で売る生産者もいまし「一括販売標準出荷規格表」を見ながら打ち合わせをする斉藤さん㊨と井上慎也店長ー生産者と消費者の信頼関係が深まり、価格への理解にもつながっているということですね。北 見 その通りです。おかげで、リピーターとして来てくれる方も多いです。土志田 「おいしい」という反応も私たちの励みになっています。た。質の良い野菜を作っても、自信を持って納得できる値をつけにくい環境で、他店に流れる出荷者も少なからずいました。ーそこで出荷者協議会の皆さんでルールを作ったわけですね。斉 藤 今年6月から、一括販売の「標準出荷規格表」を基に荷姿のルールを決め、厳守してもらうことにしました。出荷者が納得のできる価格を付けられる環境整備でもあります。ーお客さんの反応はどうでしたか?斉 藤 値上げにもつながるため初めは私たちも心配したのですが、品質の良い野菜が店頭に並ぶようになり、お客さんの評判も上々です。私たちも収入アップが実現しました。ー店舗の売り上げや来店者数も増えたと聞いています。斉 藤 良い品がそろい、適正な価格で売れるという、生産者・消費者共にウィンウィンの関係ができつつあると思います。ルールを作ってよかったと思います。夏季果樹持寄品評会の出品物を確認する土志田さん㊨、北見さん【お話し】 果樹部ナシ班きた地区班長 土志田武さん(青葉区田奈町) みなみ地区班長 北見裕二さん(戸塚区舞岡町)【お話し】 メルカートきた出荷者協議会会長 斉藤篤志さん(都筑区大熊町)生産者グループの取り組み 適正価格の実現のためにも、農畜産物の品質向上や消費者との信頼関係の構築はとても大切です。ここでは、消費者の理解を得ながら組織的に取り組んできた2つの事例について、グループの代表者にお聞きしました。浜なし「ハマッ子」直売所 メルカートきた店出荷ルールの取り決めで好循環が実現商標登録でブランド力アップ 「価格も納得」でリピーター定着農家の安定した適正な収入の実現を目指して
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