食料自給率の低さに加え、日本の農業生産基盤の弱体化も見過ごすことができません。農業従事者が毎年6万人のペースで減少する一方、農家の70%が65歳以上。平均年齢は68・4歳(令和4年)と、高齢化も進んでいます。農地はピーク時から約176万平方㍍、四国とほぼ同じ面積が消失しました。 食料の海外依存と農業の衰退。これらの相乗作用で、日本の「食」を巡るリスクは増幅し、負のスパイラルを加速しています。今、食料安全保障の強化は待ったなしです。 危機感が迫る中、JAグループが提唱しているのが「国消国産」です。国民の理解浸透を目指し、JAグループサポーターの林修さんやアイドルグループ・乃木坂46の後押しも受けながら、イベントやメディア等を通じて情報発信を重ねています。 国消国産の取り組みでは、国民全体で国産の農畜産物を買い支え、食べ支えることが重要なポイントです。しかし、こうした理解を深めるための取り組みはまだ道半ば。令和4年に農林水産省が実施した「食生活・ライフスタイル調査」によると、食に関して重視していることとして、「できるだけ日本産の商品であること」を挙げた人が39・0%と最も多かった一方、「同じような商品であればできるだけ価格が安いこと」を挙げた人がほぼ同率の 日本の「食」と「農」を支えていくためには、国民全体で意識を変えていくことが求められます。 日本の農畜産物はこれまで、他の商品と比べて価格が抑えられてきました。「物価の優等生」と呼ばれてきた卵のように、何十年も同じ価格帯で売られてきたものもあります。 毎日食べるものはなるべく安くという国民のニーズに応えるための、農家のコスト削減努力や、補助金、価格安定制度といった政策が値上げを抑制してきたのです。 しかし、それもすでに限界にきています。 異常気象や国際紛争、それに円安などの影響で、農業生産に欠かせない、肥料・飼料・燃料などが、かつてない高騰を続けています。昨今、米をはじめ農畜産物の値上げの動きも見られますが、生産コストの上昇に追いついていないのが現状です。農家は赤字にあえぎ、廃業も全国で相次いでいます。「国消国産」の前提となる日本農業が、その屋台骨を脅かされているのです。 生産コストに見合った収入の確保は、農家の意欲に直結します。それは日本の農業が持続可能であるための必須条件です。 適正な価格で国産農畜産物を選び、食べて、応援する。国民への幅広い理解浸透が、子どもたちの未来に日本の「食」をつなぎます。生産基盤の弱体化で 先細る日本の農業「国消国産」理念の 国民への浸透が課題安価供給はもう限界 適正価格への理解浸透を!JAは5月に行われた「tvkかながわMIRAIストリート」に出展し、国消国産をPR乃木坂46 のメンバーが国産農畜産物の魅力を伝え、日本の農業・農家を応援しています。ただいま、メンバーが生産現場で奮闘する動画を公開中!皆さんのアクセスをお待ちしています©よい食P*38・1%に上りました。
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