いと考え、市内でクラフトビールを製造する㈱横浜ビールに出荷。「横浜港北フレッシュホップエール」として毎年9月ごろに販売される。今年8月には、ホップ収穫体験ツアーを初めて実施。「農家の頑張りを知ってもらう良い機会。来年も開催したい」と意気込む。では、正しいことを正しくやることにこだわる。「世の中で正しいとされる物事には必ず根拠があり、生産管理も同様。自分は〝誰でも再現可能な農業〟に取り組んでいるだけ。特別なことはしていない」学肥料は使わず、有機肥料だけで県の施肥基準を満たす。「有機野菜をうたって価値を高めても、肥料不足の品はおいしくない」。施肥基準を守ることで、食味の良い品ができ、病害虫の発生を減らせるという。肥料成分に関する学術論文を読み込んで実験を繰り返すなど、地道な努力を続けながら現在の営農形態にたどり着いた。多品目栽培に取り組む中、栽培面特に重視するのは、施肥管理。化古川原さんは、農作業の省力化も積極的に進める。最近では、タマネギ苗の定植用に100円均一ショップにある「カニフォーク」を活用した道具を自作した。一般的にタマネギは穴あきマルチで栽培するが、定植時は土に植え穴を開ける必要がある他、苗とマルチの間に隙間ができ、雑草やタネバエの被害が出やすい。古川原さんが考えた道具なら、定植が簡単で除草や害虫防除の手間が省けるという。道具はシンプル。カニフォークの先端にある爪部分を真っ直ぐに伸ばし、爪の間隔を少し広げるだけ。ここに苗を引っかけて使う。「マルチの上から、苗を刺すイメージ。苗とマルチの間に隙間ができないので、雑草が生えることも、害虫が入り込むこともない。作業時間は従来の半分で、害虫被害もゼロだった」と、効果を実感する。これまでも除草用ドローンを開発するなど、アイデアを形にしてきた。「農作業の問題点を現場目線で捉え、いかに低コストで解決するかを考えている。他の農家でも実用できるようなアイデアを発信したい」。少量多品目栽培で機械化が困難な都市農家ならではの悩みと向き合い、持続可能な農業の実現を目指す。自作の道具で効率アップ㊨長ネギ苗でカニフォーク植えを実演㊤(左から)妻・智美さん、娘・怜さん、琢さん㊦ツアー参加者にホップの収穫方法を説明
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