Agri横浜 vol.223
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骨が喜ぶカルシウム技術顧問川西 隆智牛乳はカルシウムの吸収率ナンバー1日本人の食生活が豊かになり、一部では過剰摂取が問題になっていますが、カルシウムの摂取量だけは一貫して不足しています。牛乳のカルシウム吸収率は40%、カルシウムの豊富な小魚は33%、野菜は19%と、牛乳が一番多いのです。なぜ牛乳は吸収率が優れているのでしょう。効率の良いカルシウムの吸収に関わっているのが「カゼインホスホペプチド(CPP)」です。【CPPは牛乳中のタンパク質の8割を占めるカゼインが小腸下部で酵素により分解されてできる物質】摂取されたカルシウムは胃の中で溶かされ、小腸で体内へ吸収されます。小腸の上部ほどpHが低く吸収されやすいですが、大部分のカルシウムは小腸下部まで下りてきます。下部に行くほど腔内のpHが上昇(弱アルカリ)し、溶けずに吸収されにくくなります。CPPは小腸下部でカルシウムの不溶化を阻止し、カルシウムを吸収しやすい状態にします。牛乳による腹痛を防ぐには?牛乳を飲むとお腹が張る、ゴロゴロする、下痢をするなどの症状が現れることを乳糖不耐症と呼んでいます。乳糖不耐症は乳糖の分解酵素「ラクターゼ」が先天的に欠乏しているか、活性が低いため乳糖が消化吸収されないまま大腸に送り込まれるために起こります。これを避けるための工夫は、温める、飲む量を控えめにする、コーヒーやココアに混ぜるなどの方法が勧められます。気になるコレステロールは…牛乳から摂取するコレステロールは多くありません。牛乳600ml程度を毎日飲み続けてもコレステロールは増加しません。牛乳の脂肪は中鎖脂肪酸を多く含み、体に蓄積されにくいのです。ビタミンB12と乳糖のチカラビタミンB12の不足は脳の発達だけでなく、乳幼児の脳の発達や高齢者の認知症にも関与していると報告されています。ビタミンB12は動物性食品からしか摂取できません。ビタミンB12の欠乏は60歳を超えると増加し、アルツハイマー症候群ではしばしばビタミンB12の欠乏が認められています。日頃から牛乳で摂取しましょう。カルシウムの過剰摂取で起こる障害として、尿路結石、ミルクアルカリ症候群、鉄・亜鉛等ミネラル吸収抑制、便秘症などが考えられます。元々、カルシウムは摂取量が増えると吸収率が低下し、摂取量が少ないと吸収率が高まります。腎臓結石の大部分はシュウ酸カルシウムの結晶です。食品でとったシュウ酸は体内に吸収され、腎臓から排出されるときにカルシウムと結合して結石ができます。日本人が1日にとるコレステロールは300〜500㎎で、その内牛乳から摂取する割合は約5%と非常に少ないです。コレステロールは体内で1日1000〜1500㎎作られていて、生命維持になくてはならない物質です。土や緑とふれあう暮らし牛乳は栄養バランスに優れた食品です。タンパク質、脂質、糖質、ミネラル(カルシウム)、ビタミンをバランス良く含んでいます。牛乳は栄養密度が高く、少ないエネルギー量で同じ量の栄養素を摂取できます。【栄養密度:食品のエネルギー100kcal当たりに含まれる栄養素の量】緑の情報箱牛乳はあなたの味方

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