見渡すことができる。平本貴広さんは出荷先や消費者が身近にいる都市農業の縮図ともいえる地で、独自の営農スタイルを築き上げてきた。変わり種品種が農業の楽しさを実感する転機に。県内農業を盛り上げるために仲間とグループを結成して活動の幅も広げている。神奈川区羽沢町にある畑からは、みなとみらいや都内の高層ビル群を営農スタイルの確立へ販路の変更が転機に生産しながら、変わり種品種の栽培にも注力する平本さん。手掛けるのは地方の伝統野菜から海外原産の品目まで幅広い。これまで100品種以上を試作してきた。そのマニアックさは農家仲間からも一目置かれるほど。平本さんの畑に行けば希少なものでも見つかると重宝され、飲食店関係者の間でも注目が集まっている。基礎は、2年通った県立かながわ農業アカデミーで学んだ。営農に対する考え方に大きな影響を受けたのは、卒業後に実施したアメリカ北部への留学。1年間の経験は現在の価値観を構築する貴重な場になったという。ることが一般的で、作業スピードが最も重要視されていた。一緒に働いたメ1㌶の畑で年間70品種の野菜を就農したのは23歳の時。農作業の現地では広大な農地で1品目を作キシコ人の性格はラテン系で陽気。多少の失敗では物怖じせず、怠けているように見えて時間通りに工程を終わらせる。さまざまな事に追われてカリカリしているのは自分だけだった。「丁寧で正確に作業をすることは日本人の気質で長所だと思う。ただ、失敗を恐れずに何事もやってみる大切さをこの期間に学べたのは良かった」と振り返る。帰国後は両親と共に市場向けにキャベツやレタス、ブロッコリーなどを生産。安定した収益を上げていた一方で、楽しさを感じられなくなっていた平本さん。農業への新たなやりがいを見出すため、年間同じサイクルを繰り返す毎日からの脱却を並行して模索し続けていた。変わり種品種栽培のきっかけは、約15年前に市場出荷から小売りに切り替えたこと。出荷を始めた量販神奈川区羽沢町平本 貴広さん(52)濱農浪漫変わり種野菜が転機に県内農業の発展にも尽力
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