Agri横浜 vol.210
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親が植木栽培をしていたが、受け継いだ農地を自分なりに活用したいと、68歳でUターン就農を決めた荏原さん。始めにJAの「Uターン・新規農業後継者講座」で農作業の基礎を学んだ。「素人の私には何でも質問できる場があったのはうれしかった」と話す。受講の成果を生かした畑では、栽培環境に合う品種を選択するために多くの作物を手掛けた。まず育苗箱を自作。苗作りの大変さから実感したという。中でもナスの栽培は、剪せ定て方法が難しく病害虫などに悩まされ、簡単にうまくいくものではなかった。2年目はナスの支柱をV字にし、防虫対策のためシルバーマルチにするなど試行したが、風による擦れや8月末の乾燥に苦しんだ。JAの野菜部新田支部に所属した4年目以降、部員との情報交換やほ場の視察をし、参考にできるものを積極的に取り入れてきた。特に植木畑から野菜畑への転換期だったので、土壌分析は有効だった。手先の器用さも生かして防風ネットや組み立て式のかん水チューブを自ら設置するなど、良いものを作るために工夫を続けている。その結果、昨年はJAの立毛品評会で優秀賞を受賞できた。現在、7㌃で「千両二号」を栽培。そのほか50㌃の畑では、季節に合わせて約20品目を手掛ける。んい 経験の無さを痛感荏原庸二さん(78) 港北区高田町いつの間にか本気に大敵の風との戦い収穫間際のナスの生育状況を確認港北区高田町の農業振興地域は、みなとみらいや川崎市内のビル群を見渡せるほどの高台にある。風を受けやすくナスの栽培には不向きな立地だが、その一角で荏原さんはナス作りに挑んでいる。定年後に就農し10年目。1年ごとの栽培記録を保存管理しているので、これまでの経験を翌年に生かし、栽培管理や防風対策を徹底。荏原さんの畑は長年の改善の跡が見える。Uターンでナス作り10年手先の器用さで環境を改善

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