JA横浜_Agri横浜Vol.257
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→技術顧問 青木 隆天成り果二度切りした果実のイメージハサミが果実に当たらないようにする果梗の余分な部分を切る土や緑とふれあう暮らし緑の情報箱夏から秋(8〜10月ごろ)にかけての果樹の管理作業8月は暦の上では立秋を迎えますが、現実的には夏本番という季節です。近年は10月過ぎまで高温・乾燥状態が続く傾向にあり、潅水も重要になります。秋に向けて収穫期を迎える温州ミカン、カキ、キウイフルーツの管理を中心にお伝えします。果実もかなり大きくなり、ピンポン玉くらいの大きさになっていると思います。枝も果実の重みで垂れ下がってきます。枝がある程度下がった状態の方が、品質の良い果実がとれるとされています。ただし、果実がなりすぎていると翌年着花しないなど、収量が減ってしまうことにもつながりますので、果実を間引く「摘果」を実施し6〜8月に発生する枝を夏枝、9月以降に発生する枝を秋枝といいますが、これらの枝は翌年花をつけない場合が多く、樹形を乱す可能性もありますので、混み合いそうな場合は間引きます。てください。摘果の時期としては、自然に落果する「生理落果」が収まる7月下旬ごろから9月が目着果負荷が程よくかかった状態安です。可能ならばその中で、温州ミカンでは8月は混み合った部分などを中心に間引き、9月ごろに仕上げとして最終的な着果数にします。小さい果実や傷が付いた果実などを優先的に落としましょう。また、上向きについている大きな果実(「天成り果」という)は、大きすぎる果実になり味も大味になります。日焼けする可能性も高いので、摘果対象としてください。摘果は果実1つをならせるために葉が何枚必要かとされる「葉果比」というものを目安にします。温州ミカンでは葉25枚とされています。―その他の作業―・夏枝、秋枝の間引きカンキツ(温州ミカンを中心に)類カキ・収穫9月に入ると、極早生や早生の品種は果実の色もやや緑色が抜けてきます。果実の糖は増える傾向にあり、逆に酸味は減ってきます。基本的には完全に着色する10月下旬以降が目安となりますが、酸味が抜ける極早生品種は収穫期を迎えます。手順としては、収穫期を迎えた果実の軸「果梗(かこう)」をハサミで切り取って収穫します。果実を強く引っ張ると果皮が剥けたり、果肉と離れてしまうこともあるので注意してください。またハサミを使う際、果皮に傷を付けてしまうと、そこからカビが生えることにもなります。そのため、樹から収穫するときは果梗をやや長めに切り、完全に収穫してから際まで切る「2度切り」をすると良いでしょう。猛暑の8月は樹・果実とも生長がやや鈍くなります。乾燥が続き、葉がぐったりしている感がある場合は、果実の肥大に影響が出ることもありますので、潅水を適宜実施すると良いです。―台風対策―カキに限った話ではありませんが、台風の襲来時期になります。対策として、樹の根元付近に支柱を立てて、風で倒れないようにします。3方向から支柱で幹を固定し

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