JA横浜_Agri Vol.245
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市街地の畑で直売屋内から屋外が仕事場にくを流れ、かつては水田が広がっていた地域だが、今はその面影はない。そこだけ緑の空間が残る一団の生産緑地(*)で、小塚剛俊さんは露地野菜を中心に少量多品種栽培を実践。アパレル業界からUターン就農して6年。消費者を味方にすべく、農業・農家の存在をアピールする。民家やマンション、工場、倉庫などが立ち並ぶ鶴見区駒岡。鶴見川が近ウガラシがほしいんだけど」「次の土曜日はやるのかしら」―。常連客から矢継ぎ早の質問が飛んでくる。テンポよく呼応しながら、素早く代金を計算し、「毎度ありがとうございます」と、笑顔を返す小塚さん。丁寧な接客に人柄がにじみ出る。火・木・土曜日に開く直売には、近所の人ばかりではなく、隣町から自転車で買いに来る主婦の姿も。お客同士で顔を合わせれば、「あら、お久しぶり」と会話が弾む。直売所は地域住民の交流にも役立っているようだ。畑は市街化区域内にある。約30㌃の生産緑地と自宅周りで、年間60品目を生産する典型的な「ザ・都市農業」。身近に消費者しかいない環境「エダマメはいつから売るの」「青トここは畑の一角に設けた直売所。民家、アパート、倉庫に包囲されたを生かさない手はない。小塚さんは、「作業している姿を見てもらえば農業への理解を得やすいはず。だからできるだけ毎日畑に通う」という。雨の時は小屋で作業するので外から姿は見えないが、トラックを見える位置に停めることで存在をアピール。「『今日もがんばっているな』と思われればしめたもの」と笑う。大学で経営工学を学んだが、全く畑違いのアパレル企業に就職。大半はセレクトショップの売り場に立ち、店長も務めた。朝早く家を出て帰りは深夜、盆暮れ正月もないハードな職場環境だったが、仕事は楽しかったと懐かしむ。父・邦夫さんとの約束があった。「30歳を過ぎたら、家に戻ることを考えてほしい。だが、嫌われて辞める*生産緑地:市街化区域の農地における緑地機能を積極的に評価し、公害や災害の防止、農業と調和した都市環境づくりなどに役立つ農地を一定の要件に基づき保全する制度鶴見区駒岡小塚 剛俊さん(46)濱農浪漫前職生かし対面販売消費者を農の味方に

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