Agri横浜 vol.211
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ハクサイ葉の縮れと緑色の濃淡病原菌発病ウイルス注入!キュウリ葉の縮れ微生物防除剤を使用予防有用微生物ジャガイモ株の萎縮植物ワクチンのイメージ増殖ワクチン抽出苗に接種出荷農家が栽培感染した野菜は抜き取って焼却ひ まつ技術顧問山田 良雄作物のウイルス病作物に被害を及ぼすウイルス病には、さまざまな種類があります。動物の世界と同様、作物の種類と感染するウイルスとが概ね決まっています。同じウイルス病であっても、キュウリに感染するが、カボチャには感染しないなど、さまざまです。【特徴的な症状例】1.全体的な症状土や緑とふれあう暮らし人間などの動物はウイルス病にかかると、免疫ができ、治癒する(治る)と共に、再度感染しないことが知られています。作物(植物)には、免疫機構が無く、ウイルスに感染すると、治ることはありません。また、現在の科学知識では治療法が見つかっていません。一度ウイルス病に感染した作物は、原則廃棄するしかありません。このため、最大の防御方法は「感染しない・させない」ことです。生育・伸長が遅く、葉の色がやや淡く、全体的に小さくなる傾向が見られる。ウイルスの種類や感染時期によって、症状や収量などへの影響はさまざま。症状が軽い場合、生育量がやや小型化し、収穫量がやや少なくなる程度で、感染に気付かない場合もある。生育の初期に感染すると、収穫皆無になることもある。2.発生部位主に生長点付近の若い部位(概ね先端部)に出やすい。ウイルスを伝染する害虫が生長点付近など若い部分を好むためと思われる。感染して、葉がすぐに枯れ上がることはあまりない。感染後しばらくしてから、枯れることはある。ウイルスが自己増殖するために、感染した作物が生きている条件が必要なためと思われる。3.モザイク症状葉に緑色が濃い部分と薄い部分とが、まだら状(モザイク状)に出る。4.縮れや小型化症状葉の縮れ(縮葉)や生育・伸長が遅く、概して小さくなる(矮化)。・野菜のモザイク病葉に緑色の濃淡や黄色い斑点ができ、縮れて株が小さくなる。ワクチンはあります。作物の場合は、病原性ウイルスの毒性を弱くした「弱毒ウイルス」を使います。ウイルスが感染する前に、植物ワクチン(弱毒ウイルス)を作物に接種し、定着させます。後から毒性の強いウイルスが感染しようとしても、弱毒ウイルスが先にいるために、感染できない現象を利用した予防法です。一種の「席取りゲーム」と同じような現象です。既に一部商品化されていますが、中でも実用的なのは、ワクチンを接種した苗です。作物にもワクチンがあった作物には免疫機能がありませんが、ウイルス病予防感染源は主に害虫(昆虫)動物の主な感染は、飛沫など空気や接触による伝染ですが、作物の場合は①害虫による食害 ②ハサミなど管理道具の接触 ③風などによる傷―です。感染(媒介)は、アブラムシ類、コナジラミ類、アザミウマ類、ウンカ類など比較的小さく、汁液を吸汁する害虫が主です。蚊が動物に媒介する現象とほぼ同様の仕組みで感染すると思われます。体内にウイルスを保毒(保持)した害虫は、ウイルスを伝染し続けます。稲の縞葉枯病作物のウイルス病  作物にもワクチン  (抗ウイルス)がある?人類はコロナで大変な状況ですが、作物の世界でもウイルス病で大変です。一度ウイルスに感染すると、治療法が無いため栽培を諦めなければならない場合があります。今回は、作物のウイルス病について紹介します。ウイルス病~動物と作物の違い~緑の情報箱

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