川に挟まれた東俣野農業専用地区で、若林美一さんは年間約20品目の野菜を手がける。春の主力であるトマトは甘みがぎゅっと詰まり、JA「ハマッ子」直売所でも指名買いされるほど人気が高い。今年から本格的に世代交代し、独自の営農スタイルを築こうと奮闘する。横浜市と藤沢市の市境に位置する戸塚区東俣野町。国道1号線と境農家で、約80㌃の露路とハウスで野菜を栽培する。就農17年目の若林さんは、ガソリンスタンドや飲食店で働いていたが、自身の結婚を機に家業を継いだ。以降、父・文一さんから基礎知識を学びながら経験を積んだ。「学生の頃から『絶対に農業をやるんだぞ』と父に言われていたので、継ぐまでは好きなことをしようと思っていた」と当時を振り返る。若林家を代表する品目に。有機肥料にこだわり、約4㌃のハウスで連作を続けて53年目を迎える。連作障害を防ぐための土壌消毒は、ハウスを密閉して高温処理を行い、消毒剤と併用して麦をまく。土との相性が良く、薬剤使用を抑えながら病害虫の防除ができるという。若林家は400年以上続く老舗トマトは父が栽培を始め、現在は品種は大玉の「CF桃太郎J」、中玉の「フルティカ」、ミニトマトの「千恋」をそろえる。うま味が凝縮するよう水は11月上旬の定植以降なるべく与えないように心がけ、完熟してからの収穫を徹底。JA「ハマッ子」直売所本郷店やみなみ店、スーパー2店舗を中心に、多い日には一日200袋以上を出荷する。これまで栽培管理は主に父が担っていたが、今年3月に体調を崩して以降、今まで通りの作業が困難になった。現在は若林さんが作業全般を行い、両親がサポートに回っている。「あれだけ大変な作業を長年続けてきた父のすごさを改めて感じた」と話す。教わった知識と技術で、これからのトマト作りを支えていく。若林さんは夏の主力作物として、エダマメ栽培にも力を注ぐ。就農当父から託されたトマト栽培新たな主力で可能性拡大戸塚区東俣野町若林 美一さん(44)味にこだわり良品栽 培受け継ぐ誇りと新たな挑戦濱 農浪 漫
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