JA横浜_Agri横浜Vol.256
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1t当たりの値段[千円]04030201019951998200120042007*出展:下水道におけるリン酸資源化の手引き(2010年 国土交通省)(窒素・リン等)天然リン鉱石 10.3下水汚泥肥料 0.6消化汚泥リン酸系肥料等 28.2食糧・飼料 17.0肥料農地・牧場下水道 5.5公共用水域 1.3流入②薬注設備水酸化マグネシウムMAP回収汚泥①リアクタ③洗浄・乾燥装置食料生活排水人間埋立等 3.6流出脱水ケーキ再生リンMAP土や緑とふれあう暮らし緑の情報箱肥料の新たな取り組み ―再生リンとは―リンの現状リンの価格が高騰Fe2O2 3%(酸化第二鉄)Al2O3 19%(酸化アルミニウム)SiO2 32%(二酸化ケイ素)CaO 12%(酸化カルシウム)輸入量 55.5 単位:万t-P/年 (2006年)下水汚泥の現状リン酸P2O5 28%(五酸化二リン)高濃度のリン酸分を含む下水汚泥が増加消化タンク技術顧問 山田 良雄栄養塩類分解・溶出サイクロンMAP植物プランクトン動物プランクトン死骸や糞などが沈殿脱水機10%程度が、下水に含まれていると試算しています。今なぜ下水なのか ―下水は宝の山になれるのか―国では、国内で使用されているリン酸肥料原料の約下水からリンの再生 ―安全性は確保できるか―農地は下水の最終処理場ではありません。安全で安心して、できれば安価に使えるものであることが必須です。なぜならば、生産者が直接触れ・取り扱い、毎日市民が食べるものを生産している場所だからです。先の東京オリンピックのメダルは、廃棄された携帯電話やパソコン等のゴミから再生されたものを使って作られたと聞いています。身近にあるのものを分けることにより、有効な資源、いわゆる「都市鉱山」に変身します。下水からリン酸を取り出す重要性は、農業だけではありません。横浜市の下水最終処分場は「海」です。赤潮等が発生して、漁業やレジャーに多くの被害を及ぼしている原因の一つが、リン酸だといわれています。下水処理水からリン酸を取り除くことによって、海の環境を守ることにもつながります。肥料として下水を利用する方法は、①堆肥化②焼却③化学的に取り出す―等があります。①と②の堆肥化や焼却は、下水に含まれている重金属等の不純物がそのまま残る可能性が高いです。一方、③の化学的処理は、リン酸成分だけを取り出すことができ、不純物が含まれる危険性が極めて低い方法です。今回肥料化を目指しているのは、化学的処理の一つ「MAP法」で結晶化されたリン酸(以下、「再生リン」という)を原料とします。身近な氷や塩を想像してください。不純物が含まれていない、含まれていてもごく微量でなければ結晶化しません。近年、野菜の生産原価が急激に高騰しています。生産者の技術や工夫の限界に達してきているのが現状です。中でも、肥料は野菜生産の基本資材で、特にリン酸原料は有限で世界的に枯渇が懸念されています。現在、JA横浜と横浜市、JA全農かながわが連携して、下水から取り出したリン酸の肥料化を目指しています。ここでは、技術面から見た現状について紹介します。約4倍

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