JA横浜 vol.232
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写真6予備摘果前 技術顧問 北尾 一郎土や緑とふれあう暮らし緑の情報箱写真1 剪定作業写真2 摘蕾作業写真3 4月上旬の浜なしの開花せんてい写真4 梵天による授粉作業写真5 授粉後の花写真7 予備摘果後ぼんてん横浜を代表する果物といえば「浜なし」といわれるようになりました。今年も8月に入ると直売所や生産者の庭先で完熟・新鮮な「浜なし」の販売が始まります。とはいえ、ナシ栽培は果樹の中でも最も手がかかるものの一つです。今回は「浜なし」栽培の1年について、写真を中心に振り返ります。1.冬は剪定の季節2.春は花の季節(1)摘蕾(てきらい)3月になると蕾が膨らんできます。ナシの開花は桜の満開から1週間〜10日後です。大玉のナシを作るため、蕾の数を減らす「摘蕾」を行います。蕾の軸を上から押さえて折るので、作業できる時期は開花前のわずかな期間です(写真2)。(2)授粉3.高品質な「浜なし」の収穫に向けて落葉果樹であるナシは、葉を落としている冬の時期は眠りについています。その間に栽培管理の中でも非常に重要な剪定作業を行います(写真1)。どのような枝を切るのか・残すのかは、その年の収穫量を確保しながら、翌年のこと、数年先のことを考えて行います。頭では分かっていても、いざ実際に剪定となると、悩ましいことです。4月の花の時期は最も忙しい人工授粉を行います(写真3)。ナシの花の美しさを楽しむ余裕はありません。授粉作業は雨天を避けて暖かい日に行います。天気予報と花の様子を見つつ、タイミングに気を使いながらの作業です。授粉には一般的に「梵天」という器具を使います(写真4)。採取しておいた他品種の花粉にピンク色の花粉増量剤を加えて、ひと花ひと花に授粉します。(3)摘果授粉して15日ほどたつと果実の大きさや形が分かってきます(写真6)ので、まず、たくさんある果実を1つにします(写真7)。これを予備摘果といいます。さらに3分の1程度の数に減らす本摘果を、授粉後30日ごろを目安に行います。その後も病虫害果や変形果などを補正摘果して、最終的に10a当たり8000〜1万個の収穫を目指します。春から収穫にかけては、いろいろな害虫や病気がナシに向かってアタックしてきます。ですから、安全・安心を担保した必要最小限の防除は重要です。横浜では住宅地に隣接したナシ園が多いため、防除回数を極力減写真で見る「浜なしⓇ」栽培の1年

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