JA横浜 vol.231
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木材も地産地消め挿し木で育てる。県から提供される挿し穂をコンテナに直接植え付け、1年間は無肥料で水を切らさないように管理し、発根させる。翌年にはゴルフ場の芝用の肥料を与え、1年かけて出荷規格の高さ30㌢、太さ3・5㍉以上になるよう生長させる。一般的な挿し木専用の品種に比べて発根が弱いため、出荷まで倍の期間をかけているという。や少花粉スギ・ヒノキの育苗も手掛けている。「スギは100%活着するが、このヒノキは活着させるのが難しく、初回分は7割程度だった。翌年からは挿し木の時期や遮光資材を見直し、9割まで改善させた」と話す。キが敬遠されるようになったが、伐採するだけでは自然環境の維持ができなくなる。県では、こうした問題を解決するため、無花粉・少花粉品種の研究に取り組んできた。羽太さんは苗木農家として、この取り組みに大きく寄与している。族のほとんどが花粉症。県の取り組みに協力することで、身近な人たちの悩みを解決できればうれしい」と笑顔を見せる。羽太さんは以前から、無花粉スギ花粉症の流行が原因でスギやヒノ「この仕事をしていながら、実は家これまでに出荷した苗木は、南足柄市にある「県立21世紀の森」などに順次植樹されている。神奈川県では全国に先駆けて無花粉・少花粉苗木の植え替えが進められているが、「昔は年に数百本単位で植林されていたので、まだまだ十分ではない」と羽太さん。国産のスギやヒノキは、建材としての用途が主だったが、次第に外国産木材の需要が高まり、国産木材の利用は減少傾向にあった。しかし、近年のウッドショックの影響で輸入が減り、再び国産への注目が高まっている。「最近では、県産の木材を使った木造高層ビルの建設例もある。建材としてはもちろん、バイオマスエネルギーとしても活用できる。木材の消費量が増えれば、無花粉・少花粉品種への植え替えがさらに進む。食材だけでなく、木材も国産・県内産を積極的に使ってほしい」と力を込める。羽太さんは今後も、育苗方法の見直しを続け、出荷量の拡大を目指していく。㊧2年かけて育苗した無花粉ヒノキ。今年3月には90本を出荷㊤普段は夫婦2人で作業に当たる。 (左から)喜久雄さん、妻・理香さん㊦育苗中のスギ。出荷時は雄花を調べて無花粉と少花粉に分別する

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