JA横浜 vol.231
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「地域性種苗」を守る全国初の〝無花粉〟ヒノキち並ぶ国道1号線の側道沿いに、「羽太苗園」がある。園主の羽太喜久雄さんは、横浜市内では希少な苗木専門の農家。主に県内の山林に植えられる苗木を生産する。県では、スギやヒノキが原因となる花粉症の対策に取り組み、羽太さんもこれに協力。少花粉・無花粉品種の育苗に力を注ぐ。藤沢市との市境に位置する戸塚区影取町。飲食店や遊戯施設などが立の復旧や木材の生産を目的に、スギやヒノキの植樹が急速に進められていた。「当時は、戸塚区西部でも苗木の生産が盛んに行われていて、うちは祖父の代から手掛けている」と羽太さん。しかし、山林が復旧したことや木材需要の減少に伴い、苗木農家は年々減少。現在、市内では2戸のみとなった。合に所属し、妻の理香さんと共に年育苗。毎年9月頃には丹沢の山に足を運び、許可を得てブナなどの種子を採取する。樹木は同じ品種でも地域によって特性が異なり、他の土地で育ったものを県内に植えると、遺伝子かく乱などの影響が出るという。戦後、日本各地では荒廃した山々羽太さんは、県の山林種苗協同組間25種類ほどの広葉樹や針葉樹を庭木のように少ない数を植えるだけなら問題ないが、山林では取り返しがつかなくなる。「その土地に根付く『地域性種苗』を守ることが大切。近年、松枯れの原因となるセンチュウへの耐性があるクロマツなどの新たな品種も増えているが、全て自然の中から発見されたもの。これらを私たちの手で育苗し、数を増やしている」と話す。羽太さんが育てる品目の中で、最も希少なのが「無花粉ヒノキ」だ。神奈川県が全国で初めて発見したもので、愛称は「丹沢3月15日に品種登録された。羽太さんは県から委託され、令和元年から単独で育苗に着手。昨年、152本を初出荷した。令和2年には生産者が1戸増え、現在は2戸で普及促進に励んでいる。このヒノキは、種子ができないた森のミライ」。今年 戸塚区影取町羽太 喜久雄さん(58)濱農浪漫苗木生産で山林保全県から無花粉ヒノキ委託

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