Agri横浜 vol.219
5/13

❷❶ビーツの収穫。都筑区はサラダに使う野菜の需要が高いという ❷販売前の洗浄も念入りに ❸メンバーとスタッフの共同作業で“あんどん”を作り、強風から苗を守る❹広々とした畑は農作業には最適な環境 都筑区池辺町の南斜面に広がる日当たりのよい畑。ここで農作業に精を出すのは、NPO法人都筑ハーベストの会が運営する就労継続支援B型事業所「都筑ハーベスト」の利用者とスタッフです。週5日の活動のうち、畑作業を中心に、加工や週1回の販売などに従事し、農業を通じた地域社会への参画・自立を目指しています。都筑区茅ケ崎東/都筑ハーベスト農作業通じ自立支援農福連携は知的障がい者を対象とする事例が多い中、同所は総合失調症やうつ病などの疾患がある精神障がい者が中心です。元々精神障がい者の活動支援を目的として平成13年に会が立ち上がり、当初は体験農場のような形態でしたが、24年に就労継続支援B型として認可されました。安定的に通所できない人も多い中で、畑作業には利用者10人ほどが集まります。1日のスケジュールはミーティングから始まり、スタッフがその日の作業内容を説明。午前午後とも2時間程度作業に汗を流し、終了時は一人ずつその日の作業を振り返って感想を発表します。約60㌃の畑で、野菜のほか、小麦、ハーブ、キウイフルーツなどを栽培。収穫物は週1回、都筑区役所内でのバザーで販売します。同区は若い世帯が多く、食生活が西洋化している地域性もあって、ルッコラやビーツなどの西洋野菜がよく売れるため、生産にも力を入れます。サツマイモは生での販売に加え、スイートポテトに加工。ダイコンのハリハリ漬けと並び、同所の2大看板商品となっています。小林良輔所長は26年に同所にボランティアとして入り、現在は責任者として農作業を取り仕切ります。それ以前は国家公務員として激務をこなす日々を送っていましたが、祖父母の住む地方で自然と触れ合った子ども時代の体験から、農のある暮らしを意識するように。退職し、八ヶ岳の農業大学校や援農経験を通じて知識と技術を身につけました。小林所長は、農福連携をどのように捉えているのでしょうか。「スタッフは利用者さんを指導するというより、一緒に作業するという感覚で臨んでいます。人として尊重し、その人の力が発揮できる作業を提供します。その作業に適性があるかどうか、本人が気付けるようにすることも大切です」全員に同じ作業を与え、統一した指示をした方が生産性は上がるかもしれませんが、うまくできないと自己否定につながってしまうので、その人の人間性の回復という面ではマイナスになるといいます。農作業は多岐にわたり、栽培以外でもレシピを作ったり、ユーチューブで活動をアピールしたり、農業をベースに活動してもらうことでメンバーのやる気につなげていますもりの方が外で活動できるようになるなど、「農業だからこそ」のメリットはたくさんあります。経験から就職につながったケースもあります。収穫体験に来られる地域の人とコミュニケーションするなど、利用者さん自身にも積極性が生まれました」と、農福連携の効果を実感しています。。20数年引きこ小林所長は、「ここでの作業❶❸❹所長の小林さん。両祖父が元JA職員で、JAにはなじみがあるという。地域交流も盛んにJA横浜食農教育マイスターに登録 収穫体験などを通じた地域交流にも盛んに取り組みます。JA組合員でもある同会は、食農教育マイスターにも登録。地域住民を対象に、サツマイモ掘りや味噌づくり教室を開いています。小麦を使った地場産品づくりにも協力します。

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る