離れ、祖母のみが一部の畑を管理していた。規模は少量の野菜を自宅で売る程度に縮小。2人は荒れてしまった5㌃ほどの農地を見て「もったいない。何とかしたい」という気持ちが芽生えていった。農業経験ゼロでも〝とにかくやってみる〟と決意して令和6年1月に土作りからスタートした。けただけでなく、4月からはJAの講座を受講。「JAの営農技術顧問による座学や実習で、農業生産に必要な知識や栽培技術を1年かけて学んだことは貴重な経験だった」と振り返る。講座と並行しながら農作業と農園入り口での直売も実施していた。初めは祖母が育てた野菜を販売していたが、サラダカブやスティックセニョールなど徐々に2人が育てた野菜も並べられるようになった。ただ、屋外での販売は野菜の傷みが早く、営業時間が天候に左右される課題も生じた。解決策を模索し、「対面で消費者と交流を図りたい」という理想も実現させるために直売所の新設を計画。両親に相談すると、2人が驚くほどのスピード感で設計・施工して畑に隣接した土地に直売所を建て、11月4日にオープンを迎えた。祖父母やJA職員のサポートを受これまで作ってきた農作物は50種類ほど。量販店に並ぶ一般的な品目だけでなく、カラフルダイコンやニンジン、フェンネルやチコリなどの海外原産のものまで幅広く手掛けた。取材をした3月中旬は端境期の中でも、小松菜や芽キャベツ、サツマイモの他、レモンが売り場を彩っていた。「消費者が食べてみたい、写真を撮りたいと思う物も用意している」と真歩さん。PR手段のSNSは、写真映えを意識して投稿するインスタグラムと、直売の具体的な情報を提供するLINEを使い分けて着実にファンの獲得につなげている。将来は祖父母が10年以上続けていた体験農園を復活させることが夢。「消費者が目の前にいるのが都市農業の強み。映画に行くような感覚でサツマイモ掘りに来られるような新たなコミュニティーを作りたい」と、先を見据える2人の眼差しは力強い。今シーズンは綿密なスケジュール管理とさまざまな品目を試作しながら、栽培環境との相性を見極めることが目標だ。消費者の「おいしかった」を聞くために、国際夫婦は今日も笑顔で作業に励む。新たな価値の提供が夢せんてい右左上下右下左ワケギの生育を確認営農技術顧問㊧にイチジクの剪定を学ぶ直売所は日本語以外に英語、スペイン語も飛び交う国際色豊かな場に商品には2人をイメージした大入農園のオリジナルシールが貼られている
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