JA横浜_Agri横浜Vol.266
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→中心花しんしょうてきらいせんていキウイフルーツの雌花湿気味になりますが、梅雨が明ければ強い日差しと高温で乾燥気味になり、根の働きが弱くなります。特に株の小さい果樹や苗木などは乾燥でダメージを受けやすいので、株元にマルチングをしたり、たっぷり水をやるなど、十分注意してください。 それでは、今回は具体的な例としてキウイフルーツ、カキ、ブドウについてお話しします。【摘蕾】 蕾の数を調整するのは雌木の花だけです。1カ所に1〜3個の蕾がつきますが、養分ロスを防ぐため1個に間引きます。真ん中の果実が中心花で、他の2花は側花といいますが、基本的には中心花を残してください。 また、枝の元や先端の花を摘み取っておきましょう。雌花が咲く前の時期に行ってください。【人工授粉】 キウイフルーツは雌木と雄木があり、人工授粉を行うと実つきが良くなり、果実の品質も向上します。ただし、品種によっては雌と雄の開花時期がかなりずれてしまいます。雌の品種に合った雄を植えることも大切です。いる雄花を取って、雌しべの先端の光っているところ(柱頭は放射状に広がっている)に直接つけて授粉します。【新梢の誘引】 キウイフルーツはどんどん新しい枝が伸びます。葉が茂りすぎ、棚の下が暗くなるとおいしい果実にはならないため、棚に水平になるよう枝を誘引するとともに、整理をする必要があります。根元から出てきた芽(台芽)や真っすぐ上に伸びだした太い枝は、元から切り落とします。 人工授粉にはいろいろな方法がありますが、雄花を雌花に直接こすりつける方法が最も簡単です。具体的には、雌花が3分咲きから満開のころに、花粉の出て○キウイフルーツ摘蕾・人工授粉、新梢の誘引(5月)―5月の管理― 花が終わったウメ、リンゴなどは小さい果実をつけています。たくさんの果実をならせると、一つ一つがおいしい果実にはなりません。良い果実をならせるために、適正な数に調整する「摘果」をする季節です。 また、これから花を咲かせるキウイフルーツやカキは、蕾の数を調整します(摘蕾)。ブドウは房の大きさを調整する房づくりがあります。―6月の管理― 冬から春にかけて花の咲いた果樹では、6月が収穫の季節というものがたくさんあります。ただし、6月は梅雨による高温多湿で病害虫が出やすい時期です。病害虫の兆候があったら、薬剤散布や被害部位の除去など、すぐに対処する必要があります。 また、つる性の果樹は剪定や誘引をして日当たりを良くするなど、環境を整えることも大切です。 梅雨の長雨により、ブドウやレモンなど病害虫が出やすいものは、ビニールシート等で覆って雨よけをしておくのも良いでしょう。ただし、風通しが悪くならないように注意してください。―7月の管理― 枝葉が茂ってきて日当たりが悪くなってしまいがちなので、状況を見て枝をすかします。また、7〜8月の落葉果樹では、充実した新梢に来年の花芽ができる時期ですから、花芽のできる枝に十分な栄養が行くように、上を向いて盛んに伸びる新梢は生長を抑えるように管理します。 具体的には、どの枝や葉にもよく日が当たるように、余分な芽をかき取り、上に伸びた新梢を適当な方向に誘引するなどして、日陰を作らないようにします。それでも十分でなければ、混んだところの枝葉を切り取ります。これが夏の剪定ですが、切り取るのは最低限にとどめるようにしてください。 勢いよく伸びている新梢を、伸びている向きと違う方向に誘引したり、枝をねじって(捻枝)生長の勢いを抑えるように管理すると、結実や来年の花つきを良くするのに効果があります。 また、梅雨の終わりは激しい雨が降り、どうしても過土や緑とふれあう暮らし→技術顧問 青木 隆側花(落とす蕾)5〜7月にかけては、果実の収穫に向けてさまざまな管理作業が必要になります。摘蕾、摘果、誘引、剪定、病害虫防除など、どれも欠かせません。ここでは、月別・主な品目別の管理作業について解説しますので、ぜひ参考にしてください。緑の情報箱初夏(5〜7月にかけて)の果樹管理作業

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