JA横浜_Agri横浜VOL.254
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技術顧問 北尾 一郎か りゅう写真1:黒星病写真2:かいよう病写真4:幼果の被害果写真8:ルビーロウムシ写真9:イセリアカイガラムシ写真5:8月の被害果㊨写真6:落葉病により紅葉した葉さなぎ土や緑とふれあう暮らし緑の情報箱失敗しない果樹類防除のツボ5月はいろいろな果樹の開花期の真っただ中です。2月のウメに始まり4月のナシ、5月のカンキツ、カキ、ブドウ、キウイフルーツまでさまざまな果樹の花が咲き、実止まりします。せっかく結実した果実が防除不足で台無しになったり、落果してしまうのはもったいないことです。かといって、やみくもに農薬散布する時代ではありません。防除のツボを押さえて実りの秋を迎えましょう。今回は果樹類防除のツボについてお話しします。写真1は「黒星病」、写真2は「かいよう病」の果実です。どちらも果面にポツポツができて商品価値が下がります。特にかいよう病は果肉まで及んでいるので、加工しても食感も悪くなります。黒星病はカビの仲間、かいよう病は細菌が原因なので、防除薬剤が全く異なります。黒星病には花が落ちた頃から収穫までの間に【ベルクートフロアブル】や【スコア顆粒水和剤】を散布しましょう。かいよう病には開花中から葉が出る前には【Zボルドー】、葉が出た後は【マイコシールド】などで防除してください。写真6は「落葉病」です。秋の始まり頃から葉に斑点が出て紅葉し、落葉します。果実の成熟期に葉がなくなると、残った果実は色付いても味が悪かったり、軟化します。病気の発症は秋ですが、防除適期は5・6月です。ヘタムシガの防除と同時に【ベルクート水和剤】や【スコア顆粒水和剤】を散布しましょう。写真7の白い部分は「ヤノネカイガラムシ」の雄蛹の集団で、紫褐色の細長のものが雌成虫です(写真内〇の中)。この雌成虫は写真7:ヤノネカイガラムシ果実の表面にも寄生します。写真8はその名の通りルビー色の「ルビーロウムシ」です。葉が黒くすす状に汚れているのは、分泌物に発生した「すす病」です。写真9は卵のうを形成した「イセリア1.ウメの黒星病・かいよう病について2.カキのヘタムシガと落葉病について「カキノヘタムシガ(写真3)」は1年間に2回発生します。幼虫が果実に被害を与えますが、1回目は6月、2回目は7〜8月がピークになりますので、カキの開花後の5月下旬に【ダントツ水写真3:カキノヘタムシガ溶剤】か【トクチオン水和剤】を散布します。「富有」の開花盛期の10日後が適期とされています。夏の防除は8月上旬や下旬に【ダントツ水溶剤】を散布しましょう。最近は夏の被害が多いように思います。せっかく育った果実が赤く軟化して落果してしまいます。適期防除で秋の味覚を楽しみましょう。3.カンキツのカイガラムシについて

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