中下林に息づく野草る り2月中旬、春の予感をいち早く伝えてくれるのがロウバイです。半透明のクリーム色の花が咲くと、周囲には芳香が漂います。それからひと月後、県立四季の森公園(緑区寺山町)の雑木林では、花木のマンサクやハナモモが散策者の目を引き、雑木林の林床では希少なカタクリの花がひっそりと咲き始めます。種子はアリが運び、発芽から開花まで7年から9年の歳月を要するというカタクリ。園芸植物とはかけ離れた生長の遅さに、いとおしさを感じます。彼岸になれば、モクレンや各種の桜が咲き始めます。一方、湿ったスギ林では瑠璃色の花を咲かすヤマルリソウが、人知れず地面に茎を広げます。 4月下旬、市内北部の雑木林でフデリンドウやエビネの花に出くわすと、「横浜でも野生で生き残ってくれていたか」と驚かされ、目にする機会が減った野草にそっとカメラを向けました。 野生ランのエビネ(4月下旬・都筑区内) 園芸店で目にするワスレ右ナグサに似た花を咲かすヤマルリソウ(3月中旬・青葉区寺家町) 可憐なカタクリ(3月中旬・県立四季の森公園) 落ち葉をかき分けて咲く草丈5センチほどのフデリンドウ(4月下旬・緑区新治町)左上左下左中 今年2月10日、満開になった西方寺上のロウバイに雪が降りしきる(港北区新羽町) 県立四季の森公園では3月になると、マンサクが紙細工のような花を咲かす(緑区寺山町)。名前の語源は「まず咲く」「万年豊作」「満咲き」など、縁起の良い印象を受ける諸説がある 春の彼岸、西方寺では見上げるようなモクレンが空を染め、参拝者を癒やしてくれる4月上旬、10万本を超えるチューリップが春本番を告げる(中区横浜公園)特集特集郊外の春からバラ咲く初夏までを一気に紹介郊外の春からバラ咲く初夏までを一気に紹介3月25日から始まった「ガーデンネックレス横浜2023」は横浜市が主催し、JA横浜も協賛するプロジェクト。花や緑による美しい街並みや公園、自然豊かな里山など、横浜ならではの魅力を発信することで多くの方を横浜に呼び込み、まちの活性化やにぎわいの創出を図ります。5月3日から6月11日までの「横浜ローズウィーク」期間中は、市の花バラが見頃になります。特集では花期を迎えたバラ園3カ所に注目。併せて、春に郊外の静かな林や寺で咲く花々にも目を向けました。見上げる花木横浜で花巡り横浜で花巡り
元のページ ../index.html#3