Agri横浜 vol.218
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大学を卒業し、システムエンジニアとして働いていた餅田さん。夜通し働くなど、激務の日々を送っていた。梨屋の三男として生まれたが、長男が家業を継いだので「この時は自分も農業の道を進むとは思わなかった」と振り返る。3年前、先輩農家の紹介で出会った妻・美由紀さんとの結婚を機に就農した。餅田家にとっては待望の男手だったが、これまで農作業の経験は重い荷を運んだりする程度だった。そこで、JAの「Uターン・新規農業後継者講座」で基礎を学ぶことから始め、今は幸彦さんからノウハウをたたき込まれている。暖かくなり始めた3月中旬、餅田さんの畑では「よこはま羽沢レタス」の収穫作業に追われていた。市場から「産地の出荷量が少ない時期に出せないか」と要望を受け、播種・定植時期をずらして栽培に取り組んだことで例年より2週間早くスタートした。餅田さんは「市場担当者が売るためにさまざまな提案をしてくれるので、私たちは作ることだけに集中できる」と話す。管理する畑は1・5㌶。そのうちレタスは30㌃になる。収穫は4月末ごろまで続き、中早生のサリナス系「Jブレス」、カルマー系の「スプリングアース」をリレーさせる。栽培で最も大切なことは温度管理。定植後はトンネルで保温し、外気が暖かくなり始めたら換気をして結球を促す。冬場は土壌の乾燥にも注意を払うが、かん水で凍害が起きるので、朝方に水気が残らないようにしている。畑はレタスの後に緑肥、キャベツと順に作ることで連作障害が起きない工夫もする。消毒も定植前に1度するだけで済み、減農つ デスクワークから大地へ餅田哲て也やさん(34) 神奈川区羽沢町頼りになる市場からの声確立した技で安定出荷出荷用のコンテナを運ぶ昨年、かながわブランドに登録された「よこはま羽沢レタス」。神奈川区の農家7戸からなる羽沢洋菜出荷組合が手掛けている。3年前、メンバーの餅田家に加わった哲也さんは、義父・幸彦さんと二人三脚で農作業に励む。作付けする菅田・羽沢農業専用地区は、みなとみらいや新横浜のビル群を望める立地で、横浜市中央卸売市場に近いことが強み。担当者との連携が密に取れ、鮮度・品質の良い作物を安定出荷し続けることで高い評価を得ている。市場との厚い信頼関係ブランド守る若手農家

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