JA横浜_Agri横浜Vol.265
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チャンスと信じ前向きに上左ほじょう期せずして生産の第一線に立つことに。病床の父から指示を受けながら、手探りでの花栽培。経験や知識が及ばず、虫食いの痕跡や葉の変色など小さな変化を見落として、収量を減らしてしまうこともあった。なったのが、県農業技術センターが主催するステップアップセミナーだった。シクラメン栽培に取り組む市内の若手農業者たちと机を並べ、時には互いの圃場を行き来して情報交換した。同じ志を持ち、世代も近い担い手とのつながりができたことは、何より心強かった。知識を深め合い、技術を高め合った。この時の仲間たちは今も変わらぬ大切な友人であり、互いに競い合うライバルでもある。大正支部の支部長を任された。偶然、セミナー仲間の一人も他支部の長に就く。共にリーダーとしての活躍のステージが待ち受ける。「互いに支え合いながら、新たな舞台も盛り立てていきたい」。そんな廣木さんにとって転機と廣木さんは今年度、JA青壮年部2年前、作り手がいなくなって空いていた隣接の温室2棟を買い取った。ここでクランベリーやラズベリーなど、低木の果樹類を育てようと考えている。柑橘類も導入していく計画だ。育苗から成木まで3年のサイクルで回していこうと構想を膨らませる。「季節が移ろう中で、まず花を楽しみ、そのあとは果実を味わってほしい。そんな花農家ならではの提案ができたら」と、夢は広がる。父の時代はガーデニングブームもあって、花苗の需要が絶えなかった。だがリーマンショックなどを経て世界の景気は冷え込み、人々の暮らしから花がどこか遠い存在になってしまった。花き業界は今が正念場。それでも希望を持って取り組んでいきたいと前を向く。喜子さんが季節ごとにアップするインスタグラムでは、翻訳アプリを使った海外からの問い合わせも受けるという。売り上げには直結しなくても、自分の作物が遠い外国の人にも関心をもってもらえるのは大きな励みだ。2年後には地元・横浜で国際園芸博覧会が開かれる。「横浜の花が世界から注目される、またとないチャンス。追い風を信じ、飛躍につなげたい」。下右下左春・秋を中心に花苗を生産する栽培を始めて3年目を迎えたカーネーション冬のシクラメンは主力作目の一つ喜子さんと力を合わせて経営を盛り立てる

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