JA横浜_Agri横浜VOL.253
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園芸博をステップに じょう虫の発生状況やその対策に至るまで話題は尽きない。まさに情報の宝庫だ。「ここに来て一気に視野が広がった」と話す。産に軸足を置いてきた。区内各地に分散する合計3㌶ほどの圃場では、およそ80品目・140品種におよぶ植木を育てている。「地方の大産地とは数で競っても勝ち目はない。消費地の近くで、幅広い需要に素早く応えることで勝負をかけたい」。て出荷できるまで最短でも数年、長いものでは10年以上の歳月を要する。息の長い仕事だ。だが10年先の需要の予測はたやすいことではない。経営の効率化を考え、昭裕さんは可能な限り圃場の回転を速めることに力を注ぐ。「そのためにも、需要の見込まれる品種や卸業者の要望など、いろいろな情報が得られるせり市での出合いを大切にしたい」。サクラやサルスベリの植木が1・5㍍間隔で整然と並ぶ。2月中旬を過ぎて60本のカワヅサクラが満開を迎え阿久和園は長く、多品目少量生植木の生産は、小さな苗から育て新幹線の線路際にある圃場には、た。冬枯れの景色に、あでやかなピンク色が映える。これからは季節の移ろいとともに、オカメザクラ、ソメイヨシノ、そしてヤエザクラとリレーしながら花を咲かせる。苗木を植えて3年、そろそろ出荷の時期だ。土を肥やし、病害虫対策を施しながら丹精してきた努力の成果に期待が膨らむ。昭裕さんは生産のかたわら、卸した植木のその後の姿を見に、時折現地を訪ねるという。向かう先は、公園やショッピングモール、新築マンションなど。造園業者によって設計・施工された庭園に手掛けた木々が納まり、緑の潤いとして風景に溶け込んでいるのを見れば達成感がわいてくる。モチベーションにもつながるという。上瀬谷地区にある圃場は、3年後に開かれる国際園芸博覧会の会場として造成され、現在ここで育てているサクラやサルスベリ、ウメなどはそのまま会場の植栽として生かされる予定だ。一方、区画整理に伴う換地では、日照や土壌など新しい環境に応じた品目・品種への切り替えも求められる。「これも新たなチャレンジ。阿久和園のさらなるステップアップにつなげていきたい」。昭裕さんはまっすぐ前を見つめる。左上ヤマモモの種をまきつける昭裕右上下左下中下右さん雪に弱い常緑樹は枝を縛って対策種は自家採取。泥に浸して半年以上保存したもの実生苗や挿し木苗は温室で保管し発芽を待つ満開のカワヅザクラの傍らでオカメザクラが蕾を膨らませていたほ

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