JA横浜_Agri横浜VOL.253
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父の後受け自分流を導入せり市で情報収集は しゅさんは庭先でヤマモモの播種作業にあたっていた。立春を過ぎたばかりで、あたりを包む空気はまだ冷たい。冬の名残の中、春に先駆けた作業だ。昨年6月に採取し、泥に浸しておいた種を1つずつ丁寧に、培養土を施したセルトレイにまき付けていく。るが、コストのことを考えればできる限り自分で増やしたほうが経営面でも助かるから」。ヤマモモやイチョウは種から実生苗として、サルスベリやマサキ、アジサイなどは挿し木で育てている。父の代ではこうした自家増殖の苗木は育成苗の1割にも満たなかったが、昭裕さんの代になって約3割まで増やしてきた。ながわ農業アカデミーで1年間、植2月上旬のよく晴れた午後、昭裕「苗木を購入するより手間はかか農学系の大学を卒業して、県立か木生産の実務を学んだ。24歳で就農し、父・保さんの背中を追いながら見よう見まねで植木生産に取り組んできたが、やがて保さんは体調を崩して現役をリタイア。経営のすべてが若い昭裕さんの両肩にかかってきた。不安もあったが、仕事を覚えて自分なりにやってみたいことも見えてきた時期。「好きなようにやっていいよ」。父の言葉に背中を押され、少しずつ自分流の経営に切り替えていった。都筑区のJA植木流通センターで毎週金曜日に開かれるせり市。父がよく足を運んでいたこのせり市に、昭裕さんも足しげく通う。ここには大勢の同業者と売れ筋の品々、そして人気上昇の可能性を秘めたさまざまな新品種が集まってくる。植木に携わる者同士で言葉を交わせば、市場の動向や人気品種のこと、病害阿久和地区。住宅と農地が混在するこの町で、「阿久和園」は代々植木生産を手掛けてきた。今、事業を担うのは4代目の北井昭裕さん。先代の手法に少しずつ自分のカラーを加え、経営環境の変化や時代のニーズにマッチした経営を目指す。県道瀬谷柏尾線が南北に、JR東海道新幹線が東西に貫く瀬谷区の時代に合った経営手法幅広い需要に応える瀬谷区阿久和東北井 昭裕さん(40)濱農浪漫

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