JA横浜_Agri横浜Vol.241
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写真1:X型自然形整枝写真2:H型平行整枝てき りゅうせん ていしん しょうか  すい写真3:新梢と花穂(5月)か  ぼう㊧写真5:満開の花穂㊨写真6:ジベレリン処理土や緑とふれあう暮らし緑の情報箱写真で見る「浜ぶどう」栽培の1年写真4:房作り前㊧と後㊨の花穂(2)種無し栽培のためのジベレリン処理技術顧問 北尾 一郎落葉果樹であるブドウは、葉が落ちた冬の時期は眠りについています。その間に栽培管理の中で非常に重要な剪定作業をします。どのような枝を切るのか・残すのかは、その年の収穫量を確保しながら、来年のこと、数年先のことを考えて行いますが、その前にブドウ栽培では大きく分けて2通りの仕立て法があります。写真1は「X型自然形整枝」と呼び、自然な生長に合わせて樹を広げていく仕立て法です。剪定方法や樹形の維持が難しい面があります。一方、写真2は「H型平行整枝」で、最近の仕立て法の主流になってきました。樹形が単純化し、栽培管理がしやすくなります。いわば人間の都合に合わせてブドウを型にはめたようなものです。4月に発芽した新梢は徐々に葉の枚数を増やしながら5月を迎え、3枚目、4枚目の葉の位置に将来の果房となる花穂が見えてきます(写真3)。この頃からブドウ栽培で最も重要な房作りや種無し処理、摘粒、袋がけ作業が始まり、6月まで続きます。(1)開花前の房作り開花前に長く伸びた花穂を3.5㎝程度に短くすることを、「房作り」と呼んでいます。花穂は5月下旬の開花が近づくと20㎝ほどの長さになり、何百もの蕾がびっしりとついています(写真4㊧)。花穂の上の方から蕾の塊をハサミで取り除いて、房の先の方(房尻)だけに残るよう調整します(写真4㊨)。一般的に10a当たり2000〜3000の花穂の房作りをします。ジベレリンは20世紀初めごろ、イネの病気を起こすカビから発見されたもので、植物の生長を促す働きをする物質です。以前から種無し「デラウェア」の栽培に使われてきましたが、近年ではそれを応用して「藤稔」や「シャインマスカット」などの大粒ブドウにも使われるようになりました。房作りを終えた花穂が満開(写真5)を迎えた頃、水で薄めたジベレリン溶液に花穂を漬けて成分を吸収させます。写真6のようなカップを使って1房ずつ行います。この作業によって種無しブドウになりますから、失敗は許されません。花の咲き具合、当日の気温・湿度などが微妙に影響し、万一処理後すぐに降雨があれば、やり直しが必要になります。しかも2000房ほどの花穂が一斉に咲くわけではないので、生育に合わせて何回も畑に足を運びます。ちなみに、写真の花穂の上部に小さな蕾の塊を残してありますが、これはジベレリンに漬けたか否かの目印(作業を重複させないため)で、処理後に取り除きます。(3)果粒を大きくするためのジベレリン処理種無しにするための作業から10日〜2週間たつと、粒が少し大きくなります。しかし、果粒を大きくさせる物1.冬は剪定(樹形は2通り)2.勝負をかける5・6月の管理「浜なし」と並んで横浜を代表する果物「浜ぶどう」は横浜農協果樹部ブドウ班に所属する生産者が栽培した高品質なブドウで、令和2年に「かながわブランド」に登録されました。主に栽培されている品種は「藤稔(ふじみのり)」「シャインマスカット」「竜宝(りゅうほう)」「クイーンニーナ」などで、8月から9月にかけてJA「ハマッ子」直売所等で販売されます。今回は「浜ぶどう」の1年について写真を中心に紹介します。

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