JA横浜 Agri横浜Vol.240
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緑茶色緑茶色土や緑とふれあう暮らし緑の情報箱地温の上昇③土壌乾燥や肥料の流亡軽減【効果の程度】各資材ともほぼ同じ。稲わら等はやや劣る傾向。地温の抑制雑草が生育マルチの効果雑草発生防止病害虫予防乾燥防止肥料流亡軽減土壌の物理性維持透明(白)黒色透明(白)シルバー黒色シルバー技術顧問 山田 良雄雑草の抑制マルチフィルム地温調整マルチ栽培とはとある百科事典では、「野菜の生育しているあぜ(畦や畝)の上などをポリフィルムやビニールフィルムなどで被覆して栽培する方法」との解説があります。古くからは、稲わらや麦わら、刈り取った雑草などで地表面を覆い、栽培が終わったら土壌にすき込んでいました。マルチ栽培の効果期待できる効果や、マルチ資材別効果の大まかな程度は次の通りです。①地温の上昇【効果の程度】透明(通称「白」)>緑・茶色>黒色・シルバー・稲わら等太陽の光で土壌を温めるため、光が土壌に届くことが大切。ポリフィルムの場合、保温効果は期待できない。主に、気温が低い時期(春〜初夏や秋〜晩秋)にかけて生育を促進させる効果が期待できる。②地温の抑制【効果の程度】シルバー>稲わら等>黒色>緑・茶色>透明太陽の光を反射させて、地温を上げないようにする。主に、気温が上昇する夏季の根の活性を維持し、栽培を安定させる。地表面を覆うことで、土壌水分の蒸発を防ぐ他、雨水の流れ込みを防止して養分の地下浸透を抑制する。結果的に土壌の物理性を維持し、微生物の活動を活発化させるため、肥料や有機物の利用率が向上する。乾燥した状態で被覆すると、乾燥被害を受けやすい。マルチフィルムの問題④病害虫の予防【効果の程度】各フィルム資材ともほぼ同じ。稲わら等の資材は、病気を伝染させることもある。降雨による土の跳ね返りで、土壌中の病原菌が作物に付着して病害が発生することや、コガネムシ類など土壌中に潜って産卵する害虫の被害を軽減する。シルバーなど光を反射する資材は、アブラムシ等の方向感覚をかく乱させて被害を防ぐ。⑤雑草発生防止【効果の程度】黒色・シルバー>稲わら等>緑・茶色>透明光を通さない資材は、発芽・発生した雑草に光が当たらない状態にして枯らす。光を通す資材は効果が低いまたは無いため注意が必要。一般的に使われているマルチフィルムは、ポリエチレン製が大半です。ポリエチレンは安く、分解しにくく丈夫で使いやすい資材です。しかし、次のような大きな問題があります。マルチ栽培は、手軽で大変便利な栽培方法です。野菜作りの経験がある方の多くは、一度は使ったことがあると思います。また、使用した資材の片付けや処分で悩まれている方も多いと思われます。マルチ栽培の基本について再度整理しつつ、労働や環境といったあまり触れたくない負荷の面からも少し考える情報を紹介します。マルチ栽培と環境保全

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