成23年、イチゴの観光農業に転換ゆめが丘駅の開業は平成11年。この頃、美濃口さんは両親とハウスでトマト栽培に励んでいた。当時、イチゴ狩りといえばお隣の静岡県。家族連れが車で向かった。時代が変わり若者の車離れが進むと、駅に近いハウスの立地を生かせないかと、将来を視野に模索。平した。早速、JAの「ハマッ子」直売所に出荷したところ、予想を超える反響。市外のイチゴ農家が口にした「うちの園には横浜からのお客が多い」事からも、市民の需要を実感した。栽培当初、市内のイチゴ農家は少なく、美濃口さんは平塚市の生産者から栽培手法や資材の調達を習得。「当初の3年間は暗闇の中だった。ダニやうどんこ病の発生、受粉で飛び回るセイヨウミツバチの死滅、そして栽培の難しさ…。安定したのはここ5年」と振り返る。家族2世代で従事するが、繁忙期には泉区農業応援隊の力を借りる。市内でイチゴを手掛ける仲間は徐々に増え、互いに助け合い、良き相談相手になっている。現在の栽培面積は約30㌃。腰高のベンチが並ぶ高設栽培を採用。用土には最適な栄養分を含んだ養液が流れ、パイプに流す温湯で株の冷えを抑える。苗は天候不順によるリスクを想定し、自家栽培7割、購入3割と併用。葉色の濃い元気な株は、炭酸ガスで光合成を促した成果でもある。来園者はハウスに入った途端、漂う甘い香りに表情を緩ます。広いハウスはバリアフリーのため、ベビーカーや車イスでも安心。もちろん、手の消毒や「黙食」を促すなど、コロナ対策も徹底する。イチゴ栽培への転換美濃口等さん(53) 泉区下飯田町ハウスには細心の配慮収穫直後のイチゴを出荷に向けてパック詰め 相鉄いずみ野線・ゆめが丘駅。周辺は区画整理事業が始まり、環状4号線が下飯田町の東端を南北に通る。美濃口等さんが営む観光イチゴ狩り園「ゆめが丘農園」は沿道にある。園へは同駅から徒歩5分。市営地下鉄・下飯田駅からでも徒歩8分と、「駅チカ」が売りの園だ。今季で11年目。生産も安定し、横浜産イチゴへの需要に応え、販売手法の充実を図っている。「駅チカ」の観光イチゴ園需要受け設備と販売に策
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