JA横浜 vol.227
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➡ねねん し近藤園のナシの剪定作業は年明けから始まります。ブドウや柿などとは違い、枝が長く太いため日数もかかります。作業時間の短縮を図り、12月までに粗めの剪定をする事例もありますが、近藤安久さんは「必要な枝を切ってしまう可能性ある」とリスクを避け、1月中旬から剪定と誘引を同時に進行。2月末をめどに作業を終わらせます。この時期は樹の休眠期で、剪定をしても衰弱しません。暖かくなるとつぼみが膨らみ始め、少しの衝撃で花芽が落ちる危険があります。この時期に剪定をすると発芽の遅れや樹の衰弱も起きやすくなるため、注意が必要。作業が遅れると収穫量や養分を蓄える葉数が減るなどの影響が出ます。仕立て方は主枝の数によって区分されます。同園では樹齢の高い樹のあるほ場は4本仕立てで、若樹の植え替え(改植)を進めたほ場は2本仕立てを採用しています。2本仕立ては図Cのような形が市内では主流で、樹形は単純化。袋掛けなどの作業の効率化を図れます。近藤さんは、樹が上に伸びる習性を生かして図Dのような斜め上に枝を伸ばす珍しい樹形に仕立てています。同園の仕立て法は生長が早いことが利点です。枝を斜め上に伸ばすため、一番高くなる場所でも作業に支障が無いように、手が届く高さにします。樹の最も太い主幹の高さは130㌢。そのため、この仕立てを導入した当初は乗用農薬散布機(スピードスプレイヤー)が下を通れないなどの難点がありました。現在は、株元に盛土をして可能にしています。実を付ける枝(結果枝)は、鉄線を縦横に張り巡らせた頭上の棚にひもやテープで誘引。可能な限り水平に固定することで風による果実の落果や擦れによる傷を防ぎ、見栄えの良いナシになります。枝は山型に誘引すると高い部分から新しい枝が伸びてきます。この枝は生長の勢いも強いため、養分がそこに集中してしまい、結果枝の先端まで養分が行き届かなくなります。そうなると養分が隔たり、果実のサイズにばらつきが出るので、結果枝の誘引は可能な限り勾配を付けないことが重要です。折れるため、カッターで枝の根元に傷を入れてから捻じ曲げて棚に誘引(捻枝)します。傷口には病気の発生を防ぐ保護剤を塗り、傷口が深い場合にはテープを巻いて保護します。が一番重要で忙しい。作業の良し悪しが品質に大きく関わってくる。うちの味を気に入ってくれている常連客のために、努力を続けていく」と気を引き締めます。ナシの枝は無理に曲げると近藤さんは「ナシの管理は冬枝選びは慎重に樹の特性を見極める冬場の園内は剪定枝で埋まるこんどう   やすひさ㊤傷を入れる一手間で果実の付き方が変わる㊦剪定と誘引を同時にすることで棚全面に枝を張ら せることができるプロフィール令和3年度神奈川県果樹立毛共進会ナシの部で1位、農林水産大臣賞も受賞。ナシは2カ所28アールで「幸水」「豊水」「あきづき」を栽培する。図C折衷式整枝図D盃状形整枝30㌢ほど上げ、農機での作業も近藤園 都筑区池辺町近藤 安久さん(62)

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