JA横浜 vol.227
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せん ていブドウは収穫後から落葉期までに枝や根に栄養を蓄えます。貯蔵養分が翌シーズン、生育初期の果実に送られるため、作業が重要。剪定以外にも、秋口まで健全な葉を維持することも大切です。芝口禎久さんは、年1回の土壌診断結果を基に不足養分を補い、硬くなった土にグロースガンで圧縮空気を注入。根が集まる地中30㌢の酸素を豊富にして発根を促すなどの土壌改良をします。樹は上から見ると「H」の形(図A参照)に主要なつるを誘引し、その外側にも同じようにつるを誘引する平行整枝短梢剪定(WH型)を採用。従来の手法に比べて樹形を整えやすく、熟練の技術を未取得のパートでも作業が可能です。実を付ける枝の基となる結果母枝を2芽残して短く切るので枝の伸長が促されてしまいますが、小まめな摘芯で養分を果実に行き渡らせます。品 芝種口でさ剪んが定採手用法するに剪違定い手法は、図Bのように新しい枝(新梢)の出る方向が決まっているため、作業動線が一直線。枝の長さがさまざまな長梢剪定のように次の枝を探す手間がありません。反面、新梢の勢いが強いため、茎や葉、根が育つ栄養生長よりも子孫を残すための生殖生長が弱くなり、種ありブドウの栽培は難しいそうです。芝口さんは「ブドウは剪定時期と同様に房を作る春の摘粒も重要。収穫まで1年がかりなので、気を抜く暇がありません」と話します。冬の管理は実りの鍵 ))))図Aたちげしばぐち   よしひさ主枝(骨組の太枝)結果母枝H形整枝結果枝をつける元の枝市内で一般的なH型整枝。WH型よりも仕立てやすい ㊨チッパーで粉砕した剪定枝。畑に敷き、雨などでできたくぼみを補強㊧仕立てと並行して改植用の若木を切り詰めて徒長を促進主幹結果枝結果母枝から伸びて果房をつける枝結果母枝剪定位置図B1、2芽を残して機械的に短く切り込めるので作業性が高いプロフィール令和3年度神奈川県果樹立毛共進会ブドウの部で1位を受賞した芝口果樹園。ブドウは2か所35アールで「藤稔」「シャインマスカット」「ピオーネ」を栽培する。WH型の枝は茎先端の芽の生長が優先されるため、基部の芽に傷を入れることで発芽を促す11月下旬ごろからの冬の管理ブドウ・ナシ・柿。どれも横浜を代表する果樹です。生産者の努力が実り「かながわブランド」にも登録され、年々商品価値を高めています。高品質な果実を作るために重要なのが冬の管理。今回は収穫期に比べて消費者が目にすることが少ない作業に着目し、園の栽培管理が高く評価された神奈川県果樹立毛共進会の上位入賞者3人に迫りました。芝口果樹園 戸塚区影取町芝口 禎久さん(57)特集特集ブランド守る果樹農家冬の管理作業に迫る

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