JA横浜 vol.227
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にビま含ロかなまなに風増牛は技術顧問川西 隆智土や緑とふれあう暮らしおいしい牛肉を食べていますか? スーパーや街のお肉屋さんでは、きれいに磨かれたショーケースに精肉が並べられています。見るからにおいしそうな牛肉はどのように加工されているのでしょうか。昔の牛肉販売店では肉切り包丁1本で切断・加工等を行っていましたが、今お肉屋さんでは食肉をきれいに見せたり手早く処理するため、スライサーを使っています。これは機械切りといわれるもので、ショーケース内の肉を美しくカットしたり、加工形態をきれいに整えることが容易にできます。手切り肉スライサーでは機械が回転して肉を切りますが、回転するときに細胞を破壊してしまい、その切りくずが表面の細胞の目に詰まってしまいます。肉の表面に余分な脂肪が詰まると、口にしたときに脂っぽさを感じます。また、加熱調理したときに脂の濁りが出てしまいます。熱を通すと硬くなる肉肉は20種類のアミノ酸がネックレスのようにつながった構造をしており、これを「ポリペプチド鎖」といいます。ポリペプチドはコイル状に密度高く折り畳まれており、球状に固まったりしています。タンパク質を加熱するとポリペプチド鎖は激しく揺れ動き、立体構造を支えている弱い結合がほどけます。それまでくっつき合っていたネックレスの玉は結合する相手を失ってさまよ熟練した職人はどの角度に包丁を入れたら軟らかくなるか一目で分かるそうです。肉の繊維に逆らって直角に包丁を入れます。平行に包丁を入れると繊維が残って肉質が硬くなります。手切りにするには大変な力が必要と思われるでしょうが、包丁を直角に当てることで抵抗が少なくなります。い、近くにいる相手とでたらめにくっつきます。次々と別の分子とくっつき、大きな集合体を作ります。この集合体は冷却しても同じ状態を保ち続けます。タンパク質は加熱によって収縮・凝固します。肉のタンパク質は30〜35℃で凝固が始まり、40〜50℃で急激に硬さが増して保水性も失われます。加熱温度の上昇と加熱時間の長さによって肉は収縮し、目方も軽くなります。膜や腱のタンパク質は生肉では強く、弾力もありますが、加熱によって収縮し硬くなります。この部分のコラーゲンは特に強い収縮を起こし、62〜63℃で正常の3分の1に収縮してしまいます。黒ずんだ牛肉、でも腐っていない「パッケージに入った牛肉の重なった部分が黒ずんでいる。変質しているのではないか」と、クレームの原因く緑の情報箱おいしく和牛肉を食べよう

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