当院では、かかりつけ医からの紹介により、重症化した花粉症の患者さんを受け入れています。治療の中心は抗ヒスタミン剤やステロイド点鼻薬の投与です。重い鼻づまりの方には下甲介粘膜焼灼術と呼ばれるレーザー手術や後鼻神経切断手術を行います。 防御しても花粉は体内に侵入しますので、花粉症を発症させない体内環境づくりに努めましょう。それには日頃の食生活が大切。乳酸菌や食物繊維を多く含んだ食品は腸内環境を整えるといわれ、αリノレン酸を含むアマニ油やえごま油も効果が期待されます。しかし腸の代謝は人により千差万別。良いといわれる食品が全ての方に当てはまるとは限らないことも留意してください。花粉症の予防・対策で大切なのは、免疫力を保つこと。規則正しい生活習慣とバランスのよい食事を心掛けましょう。日々の暮らしを通じて免疫システムを整えることが、花粉症にも効果があると考えられています。れらを知って毎日の食生活で上手に活用していきましょう。 ただし効果が期待できる食品といっても、誰にでも同様に現れるわけではなく、自分に合った取り入れ方で時間をかけ、コツコツと続けることが大切です。-* 「花粉症は防ぎたい。でもスギやヒノキは日本の林業に欠かせない」。 この課題の解決に向け、国や県では花粉の少ないスギ・ヒノキの品種開発に向けて研究を重ねています。 こうした中、神奈川県は平成24年に無花粉ヒノキを全国で初めて発見しました。この品種は、雄花をつけるものの、減数分裂時の異常により正常な花粉が形成されず、花粉嚢が開かないため花粉が飛散しません。研究が進められ、令和3年には苗木「丹沢森のミライ」として無花粉ヒノキの出荷をスタートしました。 戸塚区影取町の羽太苗園は市内でも希少な苗木専門の農家。県の委託により「丹沢森のミライ」の育苗に取り組み、苗木は県が進める成長の森事業で活用されています。園主の羽太喜久雄さんは「国産木材が見直されている中、消費量が増えることで少花粉・無花粉品種への植え替えが進み、花粉症対策につながれば」と期待を寄せています。 免疫システムが正常に働く上で重要な役割を担うのが腸。食習慣を通じて腸内環境を整えていくことが大切です。食品の中には腸内環境を整える効果があって花粉症対策として期待できるものと、反対に状況を悪化させてしまうものがあります。こ腸内環境を整えて 第3節花粉症に強い体づくり県内で発見のヒノキ新品種に救世主としての期待高まる● ヨーグルト 乳酸菌が多く含まれ、腸内環境を整える働きがある● きのこ類、ゴボウ、レンコン、海藻など 食物繊維が豊富で腸内環境を整える効果が期待● 青魚(サバやイワシ、サンマなど) DHAやEPAにアレルギー誘発物質ヒスタミンの 働きを抑える効果が期待 (アマニ油、えごま油にも同様の効果)● チョコレート カカオポリフェノールが豊富でアレルギー症状を抑える働きが期待● 緑茶・甜茶 緑茶のカテキン、甜茶の甜茶ポリフェノールがヒスタミンの働きを抑える● コーヒー クロロゲン酸が花粉症に効果 カフェインもヒスタミンの働きを抑える● バラ肉や霜降り肉、揚げ物全般、ジャンクフード、 マーガリン、スナック菓子など 脂肪分が悪玉菌を増やし、腸内環境を崩す● 酒類 アルコールが体内で分解されるときに作られる アセトアルデヒドがヒスタミンの放出を促す〈注意〉個人の体質によって効果の現れ方は異なります。JA神奈川県厚生連相模原協同病院 耳鼻咽喉科猪 健志 診療部長羽太さんは無花粉ヒノキを2年かけて育苗して出荷する*子どもの健やかな成長と苗木の生長を重ね、森林のさまざまな恵みを次の世代へ引き継いでいくことを目的とする神奈川県の事業花粉症対策に良いとされる主な食品花粉症の人は控えたい主な食品少花粉・無花粉品種の研究・育苗も着々とドクターからのアドバイス
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