JA横浜_Agri横浜Vol.262
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家族との時間を一番に時代の流れを読む井喜明さんを含む同町7戸の農家が栽培する野菜は「鎌倉野菜」と呼ばれる。販売先は主にJR鎌倉駅近くの鎌倉市農協連即売所。売り場には彩り豊かな野菜が並び、農家の活気ある声が響く。1世紀近い歴史があり、石井家も立ち上げ当初から3世代に渡りこの直売所を支えてきた。昭和初期、鎌倉郡豊田村に属していた栄区長尾台町。その名残から石売の準備をする石井さんの姿があった。ここは「鎌倉市農協連即売所」。常連の間では「レンバイ」の愛称で親しまれる。1日に出店するのは5戸ほどの農家。鎌倉市と長尾台町の21戸を4班に分けて日替わりでシフトを組む。販売できるのは自ら育てた農産物とそれを加工したものだけ。早いと昼には売り切れる日もある。ンドユーザーが分かり、評価をダイレクトに聞けることが魅力」と石井さん。レンバイは近隣住民から飲食店関係者、国内外の観光客が訪れるからこそ〝普通〟ではいけない。石井さんの売り場は市場や量販店にはない作物までそろうと評判。何気ない会話で消費者との距離を縮めていく昔ながらの販売スタイルを貫く。日が昇り始めた午前6時ごろ。直「直売は丹精して育てた野菜のエそんな石井さんは大学卒業後、都内で7年ほど会社員として働いていた。全く農業に携わらず、家を継ぐことも考えていなかったという。「当時の自分からは今の姿は想像できないと思う。外の社会を経験したことでお客さんと向き合う大切さを学べた。長男だったので祖父は怒っていたけどね」と振り返る。就農したのは理由で、家族との時間を大切にしたいと考えたから。「祖父は寺に報告に行くほど喜んでいた。この姿を見て、鎌倉時代から続く石井家が先祖代々継承してきた農地を守る意味を考えるようになった」と話す。栽培のノウハウが全く無かったこともあり、当初は主にレンバイの売り子を担当。この経験でニーズの見極めには人一倍敏感になった。祖父や28歳のとき。子どもの誕生が大きな対話が集客増のきっかけに祖父の代から続く直売守る栄区長尾台町石井 喜明さん(55)濱農浪漫

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